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…………………………………… …………………………………… …………………………………… …………………………………… …………………………………… ~決戦当日~ ムサシ「……みんなよく眠れた?」 我夢「ええ、そりゃもう」 さやか「まぁね~」ニヤニヤ 杏子「な…なんだよ」 意地の悪い笑みで杏子を見つめるさやか さやか「しっかし……このチームは一番少ないんだよねぇ」 杏子「んだよ?怖気づいたか?」 さやか「まっさかぁ!!」 ここに集まった四人はCチーム 三つあるチームの中でも最少人数で構成されていた ムサシ「……本当にここに来るんですか?」 我夢「…あくまで予想ですけど…奴らがその気になればこの三滝原のどこにでも超獣を送り込めると思いますよ」 杏子「マジかよ!」 ピシピシッ… さやか「!……来たよ」 杏子「うわ、マジだった…」 空に脈々と血管の様なヒビが入り、 それを見たムサシと我夢が一気に駆けだす ムサシ「敵の数が分からない以上絶対に油断しないで!」 我夢「先に行くよ!危なくなったらグリーフシードのストック…使う事を躊躇わないでね」 タッタッタッ… 杏子「行っちまった………アタシ達も行くか」 さやか「うん!……必殺技もあるんだし!負けるもんか!」 杏子「……………なぁさやか」 さやか「?……どしたのこんなタイミングで?」 杏子「……アタシ達はなんで二人なんだろうな?」 残された二人 ヒビの入った空を見上げながら呟く さやか「二人?………う~ん……」 杏子「へへ……悪い意味じゃねぇよ」グッ にやりと八重歯を見せて笑い、ソウルジェムを握り締める杏子 杏子「どっちかが挫けたらどっちかが支える」 杏子「アンタと一緒に戦えて、アタシは嬉しいよ」 さやか「……!」 杏子「……なんてな!行こうぜ!」 ビキビキビキッ…! バッ 空が砕けると共に、走りながら一斉に変身アイテムを空に掲げる四人 我夢「ガイアァアーーーー!!!」 ムサシ「コスモォォオオオス!!!」 タッタッタッ… 杏子「……さやか!」 さやか「杏子、ヘマすんなよ~!?」 シュゥゥウゥウウン… バリィィイイイン! …………………………………… …………………………………… ピシピシッ… ダイゴ「!……いよいよだ」 待ち構えるBチーム 五人で構成された二番目に人数の多いチーム アスカ「よぉーし…やってやるぜぇ!」 孤門「……長い一日になりそうだ」シュン 孤門が腰に提げたエボルトラスターを引き抜き、構える マミ「………よく考えたら…」 ほむら「?」 三人の男達から数十メートル先行した位置 そこに二人の魔法少女が待機していた マミ「あなた達と初めて会った時からここまで……まさか一緒に肩を並べて戦うことになるなんて思わなかったわ」 ほむら「……」 ほむら(私はあれが初めてじゃないのだけれど……ね) マミの言葉を聞き、 ほむらの表情が少し悲しげで儚いものになる マミ「……どうしたの?」 ほむら「!……いえ、なんでもないわ」 その微かな変化を感じ取ったマミに対し、慌ててその場を取り繕う ほむら「まぁ確かに…さやかや杏子は正反対の考えの持ち主だったわね」 マミ「でしょう?……最初は争っていた者達が解かり合う……なんだか不思議ね」 ピシピシピシッ…! 決戦を間近に控えたにも関わらず、 ほむらとマミの間には穏やかな空気が流れていた アスカ「なんだぁアイツら……やけに落ち着いてるじゃん!」 ダイゴ「ははは…頼もしいじゃないか……」 孤門「まぁその通りなんですけどね」 バッ 孤門「……うぉぉおおおおおっっ!!!」ギュオン! 孤門がエボルトラスターを空へ掲げ、光に包まれる ダイゴ「……ティガァァアアアアア!!!」 アスカ「ダイナーーーーーッ!!!」 それに続く様にリーフラッシャーとスパークレンスを掲げ、 変身する二人 マミ「…いくわよ、暁美さん」 ほむら「分かってるわ……と・も・え・マ・ミ」 ソウルジェムを握り、 ほむらがわざとらしくマミをフルネームで呼ぶ マミ「あ、あら?まだ昨日からかったこと怒ってるの?」 少し心配そうな面持ちのマミが問う ほむら「……冗談よ」 ほむら「……死なないでね、マミ」 マミ「!…そっちこそ!!」 シュゥゥウゥウウン… バリィィイイイン! …………………………………… …………………………………… バリィィイイイン… 超獣「グルルル……」ズンッ まどか「!……」 空に開いた穴の向こうから出現するインキュベーターをベースとした超獣 その数六体 ハヤタ「我々の人数と同じか…」 ダン「だが気を付けろ。ここから間違いなく次々に送り込まれてくるだろう」 郷「下手に消耗すれば数で押し切られてしまう…!」 北斗「奴らの背後にいるヤプール……それさえ引きずりだせば!」 ミライ「やりましょう!僕達みんなで!」 街の中心部で待機するAチーム その数六人 まどかが狙われる可能性を考慮してのメンバー構成だった まどか「……」グッ 超獣の姿を見据えながら、 まどかがソウルジェムを握り締め、身構える ハヤタ「……落ち着け、まどか」 ダン「我々が纏めて引き受ける。援護を頼むぞ」 まどか「はいっ……」 郷「そう硬くなることはない」 北斗「お前には離れていても共に戦う仲間を感じることが出来るはずだ」 ミライ「…先に行きます!」 バッ ミライ「メビウーーーース!!!」シュゥン ブレスを空に掲げ、ミライの姿がメビウスの炎に包まれる ハヤタ「……………」パシュッ ダン「………デュワッ!」ギュン 郷「……」バッ 北斗「…………ふんっ!!」キュイン その姿を確認した後、 覚悟を決めた四兄弟が変身し、強烈な光の中へ まどか「離れていても…心は繋がってる」 シューン まどか「……いきますっ!!」 桃色のソウルジェムを握り締めて小さく呟き、 変身したまどかは弓を手に超獣の群れへ一気に跳躍した …………………………………… ~インキュベーター・母艦~ ヤプール「始まったか」 現在激戦が繰り広げられている見滝原 そこから成層圏を超えた遥か上空、宇宙空間にインキュベーターの母艦は待機していた シュゥウウン…… インキュベーター「…よし」 インキュベーター「見滝原全域に干渉フィールドを展開したよ…もうあの街へ外部から侵入することは出来ない」 巨大な球体の宇宙船の一部分 そこには不気味な音を立て、地球へ向けて赤い光を放つ物体 干渉フィールドの放射中枢が設置されていた ヤプール「ゲートは開いている。これでこちらは一方的に超獣を送り込めるというわけだ」 インキュベーター「それはそうだけど…」 ヤプール「?……なにか問題でもあるのか?」 インキュベーター「そのゲート…見滝原以外にも開くことは出来ないのかい?」 インキュベーター「地球の主要都市全てに開くことが出来れば…わざわざ地球周辺に待機させた超獣を宇宙から降下させることもないのに…」 ヤプール「…それも可能だが…その為には五日では足りん」スッ ヤプールが黒い法衣をなびかせて、 船内に設置されたモニターで戦況を確認する インキュベーター「もう少し長めに時間を取ればよかったかな?」 ヤプール「いや、長すぎると面倒だ……特に魔法少女共がな」 インキュベーター「?」 インキュベーター「……とにかく地球へ母艦を近づけようか」 インキュベーター「そろそろ決着がついた頃なんじゃないかな?」トテトテ ヤプールの横へ並び、モニターに目をやる ヤプール「!……どうやらそうでもなさそうだ」 インキュベーター「!?」 ヤプール「見ろ、魔法少女に時間を与えると面倒だという理由……これでよく解かるだろう」 インキュベーター「これは……」 …………………………………… …………………………………… ダイナ「ディィアッ!!」ゴォッ 超獣1「クギァアアッ!!」 ティガ「ジュアッ!」ゴォッ 超獣2「ギ…!?」 ドズゥゥウウン ティガとダイナが投げ飛ばした二体の超獣が別の超獣に直撃し、 大きなな音を立てて地面に倒れる 超獣3「グ……ゥウウウ……」 ティガ『マミさん!今だ!!』 マミ「!……」シュゥウ マミ「…二人とも離れてください!」チャキッ ワルプルギスとの戦いで使ったメテオールショット それを以前とは比べ物にならないほどの速度で生成し、 三体の超獣へ、その銃口を向ける ティガ「!」 ダイナ『おおっとぉ!?』 シュバッ 超獣1「……グルルル…!」 目の前の二人に逃げられた超獣達は、次の標的をマミへと定める 超獣2「グォォオオオ!!」 ズンズンズンッ 超獣3「ガァアアアアア!!」シュゥウウ 三体の超獣が口を開き、 マミに向けて光弾を放つべくエネルギーを集束させる マミ(来たわね…!) チャキン マミ「三匹同時に叩くわ!!」 バシュウン!! 超獣3「!!?」 超獣1「グガッ…!」 超獣2「…!!」 ドガガガガッ!! 狙い澄まして放たれたメテオールショットの一本の光線 それが超獣の目前で三本の矢の様に分裂し、火花を散らして突き刺さる ティガ「!……ハァァアアア……」シュゥーン ダメージを受けて動きの止まる超獣達 その隙を逃さず、ティガが腰を落として両腕を交差、 体内に満ちる光のエネルギーを両腕に集める ティガ「ジェアッ!!」 バシュゥゥゥウウ 超獣1・2・3「!!!」 ドガァァアアン… ダイナ『よぉし!!』 ティガ最大の決め技、 ゼペリオン光線が三体の超獣の体を貫き、まとめて粉々に爆散させる ティガ「……」シュー マミ「………ふぅ」カチャ L字に組んだ腕の構えをゆっくりと解き、次なる敵に備える マミ「!……暁美さん達は!?」 バッ ズズン… 超獣4「グルルル……」 超獣5「………」 ネクサス『……ほむら、僕が合図したらすぐに撃って』 ほむら「……ええ」ガチャ ネクサスの巨体に隠れるようにしてランチャーを握り締めるほむら 二人は二体の超獣に今まさに挟撃を受ける寸前、 睨み合いの状態が続いていた ズンズンズンッ 超獣4「グォオオオォ!!」 超獣5「ガァァッ!!」 ほむら「!!」 痺れを切らした二体の超獣が攻撃を仕掛けるべく、同時に駆け出す ネクサス『来た!……走れ!!』 ほむら「……」ダッ 指示が飛ぶと同時にネクサスの足の陰から弾かれるように飛び出し、 ほむらは近くの廃墟へ窓から飛び込んだ ドシャッ ほむら「よし…!」 超獣4「ガァアアアアアァ!!!」 ネクサス「……シュアッ!!」ダンッ 超獣5「!?」 ゴンッ! 超獣4「ガ……!!」 前後から迫り来る二体の超獣が勢い良く体当たりをする、その瞬間 ネクサスが強く大地を蹴って上空へ飛び上がる 目の前の標的に逃げられた超獣は勢い余ってお互いの体をぶつけ合った ネクサス「ハッ!!」シュパッ ガシィッ 超獣5「!!?」 飛び上がった直後に空中で姿勢を変え、 右腕の先から放つ光の帯、セービングビュートで二体を拘束する ズシンッ! ネクサス『今だ!撃て!!』 ほむら「!……」ジャキッ 着地と同時に飛んで来た声を聞き、 動きの止まった超獣に向けてディバイトランチャーで攻撃を仕掛ける ドガガガガガッ!! 三つの銃口から放たれる強力な魔法弾が爆発を起こし、 超獣の姿が硝煙に包まれる ネクサス「…………」 ほむら「これで………」スッ ランチャーを下ろすほむら 超獣4「…………」 超獣5「……」 ズシャアッ…… ほむら「…!」 地響きのような音を立て、 土煙を巻き上げながらゆっくりと崩れ落ちる崩れ落ちる超獣の巨体 ネクサス『仕留めたか…』 ほむら「驚いたわね……この銃こんなに威力あったかしら?」 ほむらが驚いた表情でディバイトランチャーに目をやり、呟く ネクサス『……今までその銃で戦ってきた相手を考えて』 ほむら「?……ワルプルギスの夜に…あの怪物……」 ほむら「!……そういうことね」 ネクサス『相手が滅茶苦茶なだけで銃の威力を実感できなかったんだろうね』 …………………………………… …………………………………… 杏子「うぉりゃぁああああああ!!!」ジャキン 超獣1「グァギャッ!?」 ドゴォン! 魔力で巨大化した槍の一撃が、 杏子の数十倍の大きさはある超獣を吹き飛ばす 超獣1「グ……ゥゥゥウ…」 ガラガラ…… 杏子「!…させるかよ、続けていくぜ!!」グッ 祈りの形で両手を組み、魔力を解き放つ シュイン! 超獣1「!?」 瓦礫の上から立ち上がろうとする超獣 その頭上に瞬く間に四本の魔力を帯びた巨大な槍が出現する 杏子「ぶち抜けっ!!」バッ ドシュッ!! 超獣1「ガッ!!」 杏子が腕を振り下ろすと同時に巨大な槍の一つが超獣の体を貫き、 そこから間髪入れずに残りの槍が降り注ぐ 超獣1「!!!」 ドバァン!! 倒れた超獣の体内に流れ込む魔力が爆発を起こし、 辺りに肉片が四散する チャキン 杏子「よっし!!」 超獣2「ギャォアアア!!」バシュシュッ さやか「!……当たるかあっ!!」 ドカァン! 超獣2「……!!」 蒼い光の粒子を体から発しながら周囲を高速で旋回 超獣の口から放たれた強力な火炎弾はさやかに当たることは無く、 コンクリートの地面を砕き、土煙を舞い上がらせるのみ さやか「はぁっ!!」 ズバババッ!! 超獣2「ガッ……!?」 凄まじい速さで動くさやか そこから連続で繰り出される鋭い斬撃が超獣を襲う さやか「いくら図体がデカくても…これだけ連続で喰らえばっ!!」 ズバッ! 超獣2「………!!」 超獣2「ゴォァアアアア!!!」ブンッ さやか「!! 危なっ……!」ダッ ドゴゴゴッ 周囲を薙ぎ払う様に振るわれる長大な尻尾 さやかはその攻撃を高く跳び上がって回避する 超獣2「ガアッ!!」バシュン! さやか「!!」 空中で身動きの取れないさやか その隙を見逃さず、超獣が火炎弾を発射する さやか「!……はぁあああ…!!」 シュゥウン… 解放される魔力 さやかの右腕に握られた剣 その刀身に光が集束し、自身の数倍の長さを持つ光剣へと変化する シュイン さやか「…………んっ!!」ダッ 超獣2「…!!?」 息を止め、魔法で作り出した足場を思い切り蹴り 迫り来る火炎弾へ向かって さやかは一気に飛び込んだ ドガァァン……! 着弾と同時に爆煙が辺りに広がる 超獣2「………」 ボシュッ 超獣2「!!」 さやか「くらぇええーーーーーっ!!!」 爆煙の中から蒼い光を纏った影が凄まじい速さで飛び出し、 一瞬の出来事で反応の遅れた超獣へ 光剣が横薙ぎに振るわれる ズバンッ!! 超獣2「!!……………」 さやか「どうだっ!!」スタッ ズズンッ… 光剣の一撃によって超獣の首は吹き飛び、 残された胴体は一瞬の間を置いて、ゆっくりと大地に崩れ落ちた さやか「!…………やった!!」グッ それを見て、小さくガッツポーズ ガイア「ディヤッ!!」 コスモス(C)「デェエアアッ!!」 ドズゥウン!! 超獣3「グギャ!」 超獣4「ガッ!!」 ガイアとコスモスに投げ飛ばされた二体の超獣が空中でぶつかり合い、 地面へと落下 ザザッ 杏子「我夢!ムサシ!!」 さやか「こっちは片付いたよ!」 それぞれの相手を撃破した二人の魔法少女が合流する 超獣3「!!………グルル…!」ググッ 超獣3『こんな……馬鹿なことが!』 超獣4『ウルトラマン達だけではなく……魔法少女のデータは揃っていたはずなのに…!!』ググッ 立ち上がる二体の超獣 その巨体からは想像もつかないような声で、人の言葉を話し出す 杏子「お、お前ら喋れんのかよぉ!?」 さやか「……元があいつらだから当然だとは思うけどね」 驚く杏子とは対照的に、落ち着いた口調のさやか ガイア『未来を掴もうとする者は常に前へ進んでいる!』バッ 超獣3「!!」 Xの字に組んだ腕にエネルギーを集約、 そのまま乗せるような形で額に青い光を宿らせる ガイア『昨日までのデータなんて……当てにはならないっ!!』シュォオ… コスモス(C)「オォォアッ!!!」シュォオ… それに続く様に、 コスモスがその赤い身体に宇宙エネルギーを溜め、両腕を振り上げる 超獣3・4「「ガァァアアアアッ!!」」 バシュシュッ 攻撃を阻止すべく、二体の超獣が紫色の光弾を同時に発射する ガイア「ディァアアアーーーーッ!!!」 コスモス(C)「ハァアアーーッ!!!」 バシュゥウウウッ!! ガイアが右腕を振り下ろすと同時に一直線に進む光線 青い海の光、フォトンクラッシャー それに続く様にして放たれるコスモスコロナモードの最強の技、 ネイバスター光線 超獣3・4「「!!!」」 ドガァァァアアン…… 突き進む光弾を物ともせず、 二人の同時発射した光線は超獣の体を貫き、跡形もなく吹き飛ばす コスモス(C)「ハァァ………」スッ ガイア「……」スッ 構えを解き、爆煙を見つめる二人 杏子「やったな、おい!」 さやか「よぉおし!これで……」 コスモス(C)『…待って!まだ新手が来るかも―――』 ズシンッ! 超獣5「………」 超獣6「………」 ガイア『…休んでる暇は無いみたいだよ!』 さやか「あっ……!!」 嬉々としたさやかの表情が一転 その笑顔を曇らせる 杏子「……へっ!上等じゃん!」チャキッ …………………………………… …………………………………… ~インキュベーター・母艦~ インキュベーター「なるほど、成長……か」 ヤプール「そうだ、やつらは時間を与えればその分だけ強くなる」 ヤプール「私が『五日』と言った意味が解かっただろう」 インキュベーター「うん……しかし、僕達はこれまで人間について色々とデータを取ってきたつもりだけど…」 インキュベーター「ここまで能力的に急成長した個体は彼女達が初めてだね」 ヤプール「あのウルトラ兄弟達が色々と吹き込んだのだろう…まったく目障りな連中だ」 インキュベーター「……こうなると少し面倒だね。彼女達を消すのには骨が折れそうだ」 ヤプール「なに、心配することは無い」 ヤプール「奴らのエネルギーは限界に近付いているのだからな…」 インキュベーター「まぁ、そうだね」 ヤプール「それにいざとなれば地球の人間達を盾にすればいい」 インキュベーター「こっちは地球を完全に包囲してるんだもんね」 インキュベーター「見滝原以外には転移できずに直接降下になるけどね……」 ヤプール「何しろ数が違うからな」 インキュベーター「まったくだね。それじゃ、どんどん送り込もうか」 …………………………………… …………………………………… シュゥゥン… ???1『……どうだ?必要なデータは…』 ???2『問題なく集まった…それにしても凄まじい技術力だな……光の国に引けを取らん』 インキュベーター母艦の船内 壁面に設置された巨大なコントロールパネルから粒子化した二人のウルトラマンが出現する 人間の等身大の大きさにまで縮小した二人が向き合い、状況を報告する ???1『…宇宙延命については?』 ???2『ああ、その点についてのデータならある程度回収済みだ』コツコツ 二人の内、片方のウルトラマンが自身の頭を人差し指で突く ???2『元々この問題については光の国でも研究が続けられてきたからな』 ???1『うむ…このデータが決め手になればいいのだが…』 ???2『再び長い研究の日々に戻ることになるな』 ???1『…その前に我々は戦わねばならん』 自嘲気味に言い放たれた言葉に釘を刺す ???2『分かっているさ………そっちはどうだ?干渉フィールドは……』 ???1『問題ない、無力化済みだ』 ???1『これ以上長居すると感付かれる…我々は一度脱出だ』 ???2『…アイツはもう潜入しているのか?』 ???『問題ない。彼らが配置に着いたと同時に潜入を始めているはずだ』 ???2『……分かった』 ???1『よし、では行くぞ!ヒカリ!』 ヒカリ『ああ、急ごう…地球の少女達の為にも』 シュゥン 再び身体を粒子形態へ変化させ、艦内からの脱出を開始する …………………………………… …………………………………… 超獣1「グギャ……!」 セブン「! デャッ!!」バシュッ 打撃を受け、よろめいた超獣へ向けてエメリウム光線を放つ 超獣1「!!」ドガァン 超獣2「グルル…………」ズシン 超獣3「……」ズシン まどか「!!……また出た!」 弓を引き絞るまどかの顔が絶望の色に染まる 撃破すると同時に次々に送り込まれる新たな超獣達 無限とも思える圧倒的な物量に六人は追い込まれつつあった ジャック『やはり物量戦で圧し潰す作戦に出たか…!』バッ バチチッ! 超獣4・5・6「!!!」 ジャックのウルトラブレスレットから発生する電撃が、 三体の超獣の動きを止める ジャック『エース!!』 エース『!……はい!!』ダッ 呼び声に応えると同時に、三体の頭上へ飛び上がり 両腕を振り上げてエネルギーを凝縮する エース「ウルトラ……ギロチン!!」 ザシュシュシュッ!! セブン『……よし!』 敵に目掛けて飛ぶ軌道の異なる三つの光輪が、動きの止まった超獣達の首を切断 その息の根を止める 超獣2「…!!」 超獣3「ギャォァアアア!!!」 マン「!……シュワッ!!」 キュイン! ガシン 超獣2「!?」 超獣3「グ…!」 マンが体を高速回転させて発射したリングが超獣を拘束する まどか「!……今だ!!」 メビウス「セァアーーッ!!!」 バシュゥゥン!! 超獣2「………!」 メビュームシュートの後を追う様に放たれる光の矢 その二つが超獣に直撃する寸前で重なり合い、強力な合体光線へと変化する ドガァァァアアン… …………………………………… …………………………………… …………………………………… マン『今ので何体目だ…?』 セブン『分からん。既に相当数倒しているが……』 超獣の爆発と共に舞い上がった爆煙が晴れ、 あたりに静寂が漂う 街のあちらこちらに小さく上がる火の手が生きているかの様に揺らめき、 不気味なくらい平穏な時間が流れる エース『…?』 ジャック『なんだ…?新手が……来ない?』 突然止まる増援 それを不審に思い、辺りを見渡す一同 まどか「これで…終わり………?」 メビウス『いや…まだ何か……』 シュゥゥウウ…… 『その通り。このくらいじゃ終わらないよ』 まどか「あ……!!」 …………………………………… …………………………………… シュゥゥウウ… ティガ『!?……これは…?』 マミ「倒した超獣が…!?」 辺りに四散した超獣達の白い肉片 その全てが煙のように変化し、風に乗って少女達の頭上へ集まる やがて一つになった白い塊は、少しずつ巨大な超獣の姿を形作り、実体化 100メートル級の大超獣が、地上目掛けて落下する ほむら「っ……!!」 ダイナ『これがアイツらの奥の手か!』 ズズゥン…!! 大超獣『……疲れ切った君達を倒すのにはこの姿が一番だと判断したまでだよ』 ネクサス『止めを刺しに来たってワケか……!』 …………………………………… …………………………………… 大超獣「ギャオアアアアアッ!!」 ドゴゴゴゴッ!! コスモス(C)「グッ……!!」ドシャッ 地面を抉りながら繰り出される強烈な尾の一撃がコスモスを捉え、 豪快に瓦礫の上へ叩きつける 杏子「ムサシ!!…………こんのやろ…!!」ダッ 大超獣『来るか……!』バシュン ジャキン 杏子「ッ……!!」 大超獣の口から次々に吐き出される光弾 当たれば確実に致命傷を負うそれを、杏子は紙一重のところで避け、接近する 杏子「いけぇええーーーーーっ!!!」ブンッ ドグシャッ!! 大超獣『む……』 魔力で巨大化した槍の一撃は大超獣の腹を抉り、鮮血を散らす 杏子「さやかっ!あそこだ!!」 さやか「!!…わかった!」チャキッ 宙を舞う杏子が指示を飛ばし、 それに応えたさやかが自身の周囲に大量の剣を出現させる さやか「そぉりゃっ!!!」ブンッ 大超獣『!!』 シュンッ!! 両腕を振り下ろすと同時に、大超獣へ向けて飛ぶ大量の剣 ドガガガガッ!! 大超獣「グギャッ!!ガアアア!!」 投げナイフの様に飛ぶ大量の剣は大超獣の腹部の傷跡にまとめて突き刺さり、 その傷を更に深く抉る さやか「もう一撃…っ!!」 ガイア「!!……デュア!」ダッ 杏子「!…我夢!」 スドガガガガガガッ!!! 大超獣「!!!!」 さやか「うわ……!」 ガイアが体をドリルの様に回転させ、 そのまま大超獣の腹部へ突撃 そのまま背中へ突き抜ける ガイア「………」ズシン 大超獣「…………」ガクン ズズン… ダメージを受けた大超獣は大地に膝をつき、地響きを立てながら崩れ落ちる 杏子「よっしゃあ!」 さやか「やった…!!」 ガラガラ… コスモス(C)「グッ……」 杏子「!……ようムサシ!もう倒しちまったぜ!」 体に乗った瓦礫を払いのけ、起き上がるコスモス コスモス(C)『ダメだ…!奴はこんなものじゃ…!!』 さやか「え…?」 バシュゥン! ガイア「!!」 ドガァァァン!! コスモス(C)「!!?」 ガイア「グッ!?」 さやか「うわぁあっ!?」 杏子「っ…!!」 背後から飛んできた赤黒い光弾が四人のいる地点に着弾、 大爆発を起こし、一同を吹き飛ばす ズシン… 大超獣『何をしようと無駄。勝敗はすでに決まっている』 杏子「な…に!?」 爆煙の向こうから巨体を現す大超獣 その貫かれたはずの腹部の穴は既に塞がり、完全に再生していた ガイア『再生……能力…!?』 ドガッ! コスモス(C)「!?」 大超獣が強靭な尾を凄まじい勢いで大地に叩きつけ、 その衝撃で二人のウルトラマンを吹き飛ばす 大超獣『君達、もう限界だろう?』ブンッ 杏子「こ、この……!?うがぁっ!!?」 バキィッ ドゴォン! さやか「き、杏子っ!!」 杏子が巨大な右足に蹴り上げられ、宙を舞い、建物に激突 そのまま壁面を突き破り、建物内部へと転がりこむ さやか「……え…!?」 さやか「ここって…………」 ダッ ガラガラガラ… 杏子「うっ、ぐ……げほっ………」フラッ 血を吐きながらも槍を杖代わりにして立ち上がり、 瓦礫を押し退けて周囲を見回す 杏子「!!……あ………れ?」 転がりこんだ場所 そこはマンションの一室で、見覚えのある部屋作り 自身の状況と今自分がいる場所を理解した瞬間、 杏子の浮かべる表情は焦りと困惑が入り乱れたものとなる スタッ さやか「杏子、何ボサッとしてんの!アイツが来るよ!?」 壁に空いた穴から焦り顔のさやかが現れる 杏子「戦ってる内に……この近くまで来ちまったのか…!!」 さやか「杏子っ!!!」 さやか「早くここから離れよう!?このままじゃ狙い撃ちに……」ガシッ 杏子「ま、待て!待ってくれ!!」 差し出された手を振り払う 杏子「ここはマミの………アタシ達の家なんだよ…!!」 さやか「………!!」 杏子が手を広げて必死の形相で叫ぶ 室内には壁を突き破ったときの影響で散乱した瓦礫、砕けたテーブル、倒れた食器棚 変わり果てた状態ではあったが、そこは紛れもなく杏子にとって帰るべき場所、 巴マミの家だった 杏子「ここは……ここだけは壊されるわけにはいかない…!」 さやか「ッ……でもっ!!」 ズシン…ズシン… 杏子「!!……くそ…」 大超獣『そういえばそこは拠点として使われていた巴マミの家か。潰しておくのが賢明だね』 壁の穴の向こうに見える白い巨体、 大超獣が大地を揺らしながら一歩づつ、確実にマンションへ迫る 杏子「あの野郎…!!」ダッ さやか「杏子………」 ジャキッ 杏子「こっちに……来るなぁぁぁあああああっ!!!」ブンッ 迫り来る大超獣へ向けて、魔力を込めた槍を投擲 ザシュッ! 大超獣『無駄だってば』シュゥン 杏子「!!」 頭部に深々と突き刺さる槍 しかし、大超獣の再生能力はそのダメージをも瞬時に完治させる ガシッ 大超獣『?』 ガイア『やめろ…!これ以上お前を進ませるわけにはいかない!』ググッ 少しづつ歩を進める大超獣に対し、 ガイアが自身よりも巨大な尾にしがみ付き、その進行を止める ガイア『ムサシさんっ!!』 コスモス(C)「!……オォォオオオッ!!!」 シュォォオオ 大超獣『………!』 動きの止まった大超獣へ向けて、 立ち上がったコスモスがネイバスター光線を放つべく、残された少ないエネルギーを振り絞り両腕にエネルギーを集中する ズンッ… ガイア『…!!』 杏子「!?……ムサシ…?」 しかし、チャージされたエネルギーは光線として放たれることはなく、 やがて霧の様に四散してしまった シュゥン コスモス「グッ…ウウゥ……!?」 大超獣『エネルギー切れ……まぁあれだけの数を相手にしたんだ。当然だよ』 大地に片手をつき、苦しげに肩で息をするコスモス 限界を超えた戦いを続けた反動によりコロナモードの変身が解除され、 青い通常形態、ルナモードへと変わる ガイア『そ、そんな…!』 大超獣『…それで?君はいつまでしがみついているつもりだい?』ブンッ ドガァッ!! ガイア「グォワッ!?」 コスモス「……ッ!!」 長い尾を振り回し、しがみついたガイアをコスモスへ向けて軽々と弾き飛ばす 大超獣「グォォオオ!!」バシュ ドガァァン! ガイア「グォ……!!」 コスモス「ウ……アァ……」 ドシャァ 立ち上がろうとする二人に容赦なく放たれる強烈な光弾 直撃を受けた二人は完全に大地に突っ伏し、 二人の胸のカラータイマーは点滅を開始していた 杏子「我夢っ!!ムサシィッ!!!」 さやか「そん……な…」 壁面の穴から眼下に倒れる二人を見下ろし、杏子が叫ぶ 大超獣『さて、次は君達だね』ズシン シュゥゥ… 杏子「!!」 大超獣再び魔法少女に視線を移し、大きく口を開けてエネルギーを集束 壁面の穴に向けて狙いを定める 大超獣『………』シュウゥ さやか「く、来る…!」 杏子「や…やめろ………」 ジャキッ 杏子「やめろ…やめろっ!やめろやめろぉぉおおっ!!!」 ガシャン 杏子が新たに生成した槍を床に突き刺し、穴の前に障壁を形成 しかし彼女自身も既に限界が近く、作り出した障壁は大超獣の巨大な姿の前にはあまりにも無力に思える代物だった 大超獣「ガァァアアアッ!!!」 バシュゥゥウウ!! さやか「!!!………杏子っ!!」ガシッ 杏子「うっ……ぁぁああああ!!!」 呆然と立ち尽くしていたさやかが我に返り、杏子の手を引き、マントで包み込む ドガァァアアン!! 杏子「ぐ……っ!!」 さやか「!……っあぁ!!!」 その次の瞬間、大超獣の発射した赤黒い邪悪な色の光線は杏子の作り出した障壁を易々と砕き、 マンションに直撃して大爆発を巻き起こす 二人のいた部屋はおろか、その階層まで吹き飛ばし そこから連鎖的に音を立てて建物全体が完全に崩壊する ドゴゴゴ… 大超獣『………さて』 大超獣『これで終わりかな?』 …………………………………… …………………………………… 大超獣「グルルァアアア!!」 ズンズンズンッ 地面を踏み砕きながら満身創痍の五人目掛けて突き進む ティガ「!……ジャッ!!」バシュン ダイナ「ディェア!」バシュン バチチッ! マミ「!!……あれは…」 ネクサス『……亜空間バリアーか……』 大超獣を迎え撃つために放たれた二人の光刃は、 巨体を覆い尽くす障壁に阻まれ、砕け散る 大超獣『その通り…そしてこれを破る力はもう君達には残されていない!』ダッ ほむら「……!!」 大超獣が膝を曲げて空高く跳び上がる あまりの光景に完全に目を奪われ、反応が遅れる一同 マミ「!!…二人とも!避けてっ!!!」 ドゴォォオオン! ダイナ「グォアァッ!!?」 ティガ「ウグァ!!」 回避行動が遅れた二人の上に全体重を乗せて急速落下 その巨大な両足で容赦なく踏み潰す ネクサス「ウォアッ!?」 ほむら「っ……!!」 マミ「きゃあぁっ!!?」 巨体の直撃を免れた三人も落下時の風圧を受け、 その衝撃で一気に後方へ吹き飛ばされる ほむら「ぐっ……ぅ…!」 ほむら「まだっ……やられるわけには……」グッ 唇を噛み締めて、よろよろと立ち上がるほむら 大超獣『………』バシュッ ほむら「!!――――」 ボロボロに傷つき、立っているのがやっとの体 そこへ容赦無く大超獣の光弾が飛ぶ バシィン! ほむら「ぐぅ……ぁ!!」 咄嗟に左腕の盾を突き出し防御 しかし瀕死の彼女はそれを受け止めるだけの力は残されておらず、 衝撃に耐え切れずに凄まじい勢いで吹き飛ばされる ほむら「うぁああっ!!」 マミ「っ…!」 ダッ ドグシャッ ほむら「っ……?……マミ!?」 マミ「うっ………ぁっ…!」 吹き飛ばされたほむらはビルに叩きつけられることは無く、 その間に割って入ったマミがその体を受け止めていた マミ「くっ、ぅぁ……!!」ズキッ 受け止めた衝撃で腕は痛々しく腫れ上がり、 マミはその激痛にに顔を歪ませる ほむら「!…マミ!あなたその腕…!!」 マミ「ッ…だいっ……じょうぶ………」 キュゥーン… 瞳の端に涙を溜め、傷ついた腕に治癒魔法をかける マミ(……これ以上魔力を消費し続けたら…グリーフシードのストックが……) マミ(でも…やつらは力を温存しながら戦える相手じゃない) マミ「どうすれば……いいのよ…」 ほむら「…………」 大超獣『諦めればいいんだよ。どの道これ以上戦っても勝ち目は無い』 マミ「………」 ほむら「っ………」 膝をついたまま動かない二人に向けて囁く 大超獣『君達の頼みの綱のウルトラマン達ももはや虫の息だ』ググッ ティガ「グッ!…ゥウウウ!」 ダイナ「グァ……!」 足で踏みつけられて動けないティガとダイナ 二人は脱出を試みるも残された少ないエネルギーでは巨大な足を持ち上げることは出来ずにいた ネクサス「………」 その後方で大地に突っ伏すネクサス 度重なる連戦と超獣達の猛攻で三人のウルトラマンには再び立ち上がるほどのエネルギーは残されていなかった …………………………………… …………………………………… ズン… メビウス『く……』 ジャック『なんて恐ろしい強さだ…』 エース『このままでは六人全員がやられてしまう…!』 大超獣の容赦の無い攻撃を受けた戦士達 すでにウルトラマン全員のカラーターマーは点滅を始め、限界が近付いていることを知らせていた そこへ迫る二体の巨大な大超獣の影 大超獣1『………』 大超獣2『君達は特に危険だからね。特別に二体で相手だ』 まどか「つ…強い……」 マン『…………』 セブン『我々に残されたエネルギーはあと僅かだ……なんとかこいつらを倒す方法を…』 大超獣1『それは無理だね』 まどか「!!」 肩で息をしながら立ち上がるセブンに、無慈悲にも言い放つ 大超獣2『仮に僕達を倒すことが出来たとしても…既に地球の周りには僕達以外のインキュベーターが待機している』 大超獣1『君達が死力を尽くして倒したのはその中のほんの一部にすぎないんだよ?あとどれだけの戦力を残していると思ってるんだい?』 まどか「ぅ…………」 大超獣1『なんなら今すぐにでも地球全土に向けて降下させてもいいんだよ?』 まどか「!!……っ…!」 マン『貴様……!』ググッ まどかの顔が恐怖と絶望に染まり、 マンが大超獣の言葉に拳を握り締め、怒りを露にする 大超獣2『そうなると…大勢の人間が犠牲になるね』 大超獣1『こんな戦いが起こっているとは夢にも思わない人々……』 大超獣1『そして鹿目まどか……君の家族や友人も全員ね』 まどか「あ…………」 カツン… ガクン まどか「………」 メビウス『!…まどかちゃん……!?』 大超獣の言葉に絶望するまどかはその手に握られた弓を落とし、 地面に膝をつき、うなだれてしまった それと同時にまどかのソウルジェムが黒く濁り始める セブン『いかん…!』 大超獣1『彼女は悟ったみたいだね…もうどうにもならないことを』 大超獣2『君達には……奇跡も魔法もないんだよ』 バシュゥン! エース『不味い…あれを喰らえばひとたまりも…!!』 ジャック『まどか!そこから離れろ!』 まどか「……」 仲間の必死の叫びも、絶望に打ちひしがれたまどかの耳には届かない マン『!! 危ないっ!』ダッ ドガァァアアン…… マン「グウッ………ォ…!!」ズズン まどか「!!……あ……!」 セブン「!」 まどかを庇い、二体の大超獣の放った光弾を背中で受け、地面に倒れ込むウルトラマン カラータイマーの点滅が更に速まる もはや彼に再び立ち上がるほどの力は残されていなかった 大超獣1『直撃だね…』 まどか「あ…ああぁ…っ…!!」 ズシンズシン… メビウス『!!…マン兄さん!まどかちゃん!!早くそこから離れて!!』 マン『……………』 まどか「わたしの……わたしのせいで…ハヤタさんがっ………!!」ジワッ メビウスが二人に退避を促すが、 倒れたマンに反応は無く、まどかは手で顔を覆い、泣き崩れるばかりだった 大超獣1「カハァァアアア………」 大超獣2「グルルル…………」 シュゥウウン 無防備な二人に向かって接近する二体の大超獣 二体はその大きく開いた口に、二人に止めを刺すべく膨大なエネルギーを集束させる ジャック『不味い………!!』 エース『く……体に力が入らん…!』ググッ エースが二人を助けるために行動を起こそうとするも、立ち上がる力はもう残されていなかった まどか「…………」 ズズッ マン『…まどか………』 まどか「!……ハヤタさん!?」 まどかが顔を上げ、 安堵の表情でマンの瞳を見つめる まどか「よかった……まだ生きて…」 マン『君は……何をしているんだ……!』 まどか「え……?」 予想外の言葉に口を開け、間の抜けた声を漏らす マン『君は……あの時我々に言ったはずだ………!』 くぐもった、苦しげな声でまどかに語りかける マン『自分に皆を守る力があるなら戦う……と…』 まどか「!……っ」 マン『そう言った君が…最初に諦めてどうする……!?』 マン『最後まで諦めるな……!!』 まどか「―――――!」 ガシッ まどか「…………」ギリリッ マン『………それでいい…』 叱咤激励の言葉を受け、 まどかが拾い上げた弓を再び握り締め、迫り来る大超獣へ向けて構える まどか「そうだ……勝つんだ、みんなで……!!」 シュゥゥン まどか「最後まで諦めず……不可能を可能にする…!」 大超獣1『!?………』 まどかの手に握られた弓 魔力を集中すると同時に、それが光に包まれて形を変形させる まどか「く……ぅぅうう…!」シュゥウ 大超獣2『!……早めに叩いておいた方がよさそうだね』 大超獣1『…さよならだ、鹿目まどか!』 バシュゥウウン! セブン『!! 立て!二人とも!』 メビウス『ダメだ…この位置からじゃ……!』 大超獣の口から放たれる強力な破壊光線 それが周囲の瓦礫を吹き飛ばし、地面を砕きながら一直線に二人へ進む マン『!………』 まどか「ぅぅ…う……!」 まどか(駄目…!間に合わないっ……!!)シュゥウ… ドガァァァアアン! …………………………………… …………………………………… さやか「っ………く」ピクッ ガラガラガラ… さやか「!!……きょう…こ………杏子…!?」 マミのマンションは大超獣の攻撃で見る影もなく完全に崩壊し、 瓦礫の山と化していた さやかはその大量の瓦礫に埋もれた体を起こして、 杏子の名を叫ぶ さやか「っ……!!?」 辺りを見回した、目に入ったものは カラータイマーと瞳の光が消え、 倒れて動かなくなった二人のウルトラマンの姿だった さやか「くっ…………うううぅ!!」 さやか「杏子!杏子ぉおっ!?」 絶望と不安で混乱しそうになる感情を必死で抑え、叫び続ける さやか「あ……」 杏子「……ぅ……ぅっ……」 ポタ…ポタッ… 小さくむせび泣くような声が聞こえ、その声の方向へ顔を向けるさやか そこには膝をつき、割れたティーカップの破片を祈るような形で握り締める杏子の姿 破片を握る手からは血がゆっくりと滴り落ちていた さやか「杏子……アンタ…」 杏子「っ…ちく……しょぉ…………」ポロポロ さやか「……」 杏子「また……無くしちまったよ………アタシ……」 さやか「………」ガシッ 再び自分の帰るべき場所を失い、悲しみに暮れる杏子 さやかはその顔を両手で引っ掴み、息が噴きかかりそうな距離まで顔を近づける 杏子「っ…さやか……!?お前……」 さやか「……あたし達がいるでしょうが!!」 杏子「……!!」 杏子を瞳を真っ直ぐに見詰め、震える声で言い放つ さやか「だから………ホラ、もう一度立って!」スッ 顔を掴んだ両手を離し、 立ち上がって手を差し伸べる さやか自身、 既にその心は折れそうで、今にも泣き出したかった しかしこの一ヶ月、仲間達とともに戦い、 培ったものが、ギリギリのところで心の支えとなっていた 杏子(こいつ……いつの間にこんな強く……) さやか「ホラ早く!」 杏子「あ、ああ……悪い……」 ブンッ 杏子「………!!!」 差し出された手を掴もうとした瞬間、 杏子は猛スピードで接近する巨大な白い物体を視界の端に捉えていた 杏子「………どけっ!!」 さやか「わぁっ!?」 ドシャッ 弾かれたように立ち上がり、 杏子は差し出された手を掴まず、さやかを乱暴に突き飛ばす さやか「ちょっとアンタ何―――」 ドグシャッ!! さやか「すん……の……」 怒鳴ろうと顔を上げたその瞬間、 さやかの前を通過する大蛇のように長く伸びた白い腕 それと同時に消える杏子の姿 大超獣『捕まえた』シュルッ さやか「な……!?」 さやか「杏子っ!どこ!?どこに行ったの!?」 大超獣『ここだよ』スッ さやか「…!?」 驚きに見開かれるさやかの目 見せつけるように左の手の平を広げる大超獣 その中心に四肢を埋め込まれ、磔のように固定された少女の姿 杏子「てめぇ!離せこらぁっ!!」 大超獣『駄目だ、君には大いに役立ってもらうよ』 さやか「杏……子…!!」 ズズズッ 杏子「!!…う……ぁぁあああ!?」 さやか「!? やめろ!杏子を離せ!!」 大超獣『まぁ見てなよ』 底なし沼に沈み込むような感覚に恐怖し、藻掻く杏子 しかし彼女の四肢は完全に飲み込まれ、いくら暴れようとも脱出は叶わない 杏子「………さやかっ!構うな!!コイツを……」 大超獣『あまり余計なことを話さないでくれるかな』 ズズッ さやか「!!……お、お前ぇっ!!」 杏子が言い終える前にその体は完全に大超獣の手の平に沈み、 最後の言葉がさやかに届くことはなかった ズシン 大超獣『さて、美樹さやか……佐倉杏子はこの手の中にまだ生きている』 大超獣『だが僕の意思一つで彼女を今すぐにでも殺すことは容易い』 さやか「ッ…何が……言いたいのよ」 大超獣『鈍いな、君は』ブンッ さやか「!! な……!?」 ドガッ 大超獣の鋭爪の一撃が地面を砕き、 さやかは直撃を免れたもののその衝撃を受け、後ずさる さやか「この……!!」チャキッ 大超獣『反撃は許さないよ』 さやか「!!」 起き上がると同時に反撃の為に剣を握るも、 前に突き出された大超獣の左手を見せつけられ、動きを止めるさやか 大超獣『この手の中にいる佐倉杏子はいわば人質だ』 大超獣『少しでも抵抗する素振りを見せたら彼女には死んでもらうよ』 さやか「な……何よそれっ!?汚いぞ!!」 大超獣『何とでも言えばいい。君達にとってこれほど有効な手は無いと判断したまでだ』バシュン さやか「っ!?」 ドガァン! さやか「うわぁっ!?」ズシャッ さやかが放たれた光弾を身を捩り回避するも、 爆風に吹き飛び、瓦礫の上にその身を激しく打ちつける 大超獣『二人のウルトラマンは倒れ、佐倉杏子はこの手の中………あとは君だけだ』 さやか「く……ぅあ…足が……!」 ポタポタ… 辺りに四散した鋭い瓦礫が脹脛を傷付け、 その痛みに膝を落とし、蹲るさやか 痛々しく溢れ出す血が真っ白なマントを少しづつ赤く染める さやか「か……回復…早く……」 大超獣『そうはいかない』 さやか「!!」 ドガッ! さやか「ごふぅっ!!?」 巨大な足に乱暴に蹴り上げられ、 凄まじい勢いで壁に激突 なすすべなく跳ね返り、激しく地面に転がる さやか「うぁ………っは……」ググッ 負傷した片足を庇い、剣を杖代わりにしながら立ち上がる 大超獣『回収したデータ通りだ。君のしぶとさは折り紙付きだね』 シューン… さやか「………え……?」 ズシンズシン 超獣1「グォォオオオ……!」 超獣2「…………」 さやか「!!………」 再び空が割れ、 赤い空間の向こうから二体の新手が送り込まれる さやか「まだ……来るとか……冗談………やめて……よ…」 大超獣『いい具合にソウルジェムが濁っているじゃないか。もう少しだ』 逃げることも、 戦うことも許されず、敵のされるがままに痛めつけられるさやか 彼女に今出来ることは自身の能力で少しでも体の痛みを癒すことだけだった 超獣1「………」 超獣2「………」 バシュゥウン! さやか「!………くっ…そ!!」バッ 新たに出現した二体の超獣はさやかの体の回復を待つはずもなく、 容赦なく両腕から雷撃を放つ 大超獣『これで終わりだね……さよならだ美樹さやか』 さやか「!!――――がっ!?う゛っ、あ゛あ゛ぁぁあああ!!!」 強烈な雷撃がさやかの体を貫く 周囲に飛び散る火花 崩壊した街に絶叫が木霊する さやか「あ゛あ゛ぁああ!ぎゃぁあああああっ!!!」 目を大きく見開き、 さやかの体は痙攣するように跳ね上がる 大超獣『……』 シュー… 大超獣『おや?』 さやか「くぁ…………はぁっ……はぁっ…」 舞い上がった土埃が晴れたそこには、 うな垂れて、地面に突き刺した剣にもたれ掛かるように辛うじで立つさやかの姿があった 超獣1「……?」 超獣2「……」 大超獣『………おかしいな』 大超獣『もう君のソウルジェムは穢れが限界に……』 カツン 大超獣『!……』 さやかの手から使いかけのグリーフシードが地面に転がり落ち、 小さく音を響かせる 大超獣『なるほどね…攻撃がが当たる直前に穢れを浄化して耐え抜いたか』 ズシン… さやか「……」 止めを刺すために、ゆっくりとさやかに迫る さやか「っ…………」 さやか(…は…はは……あたし………なにやってんだろ……) さやか(さんざん特訓して……意気込んで……) ズシン… さやか(挙句の果てにこのザマじゃん……) ズシン… さやか(殴られるだけ殴られて……なーんにも出来ないでやんの……) ズシン… さやか(みんな大丈夫かな……) 大超獣『………』ブンッ 歩を進めた大超獣がさやかの目の前まで接近し、 大きく尻尾を振り上げる さやか(杏子………ごめん)フラッ 朦朧とする意識の中で捕われの身となった杏子のことを思い、 糸の切れた人形のように崩れ落ちるさやか そこへ勢いの着いた大超獣の巨大な尻尾が振り下ろされる …………………………………… …………………………………… 杏子『…………』 杏子『…………』ピクッ 杏子『さ………や……か……』 杏子『…………』 杏子『馬鹿…やろ…う………が…』 BACKまどか「…ウルトラマン!」13 NEXT まどか「…ウルトラマン!」 15
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141. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/27(土) 21 46 22.40 ID ssLRmZ4U0 マミ「お手洗いから帰ってきたら、これは一体どういうことなの?」 QB「わけがわからないよ」 杏子「わけがわからないよ票ばっかじゃねぇか」 ほむら「仕方がないじゃない、わけがわからないのだもの」 まどか(みんな東西オッポレ合戦知らないのかな……) さやか「まぁそんなわけのわからないのは放っておいて次のお題行くよ」 マミ「ティロ・ 146☆」 146. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/27(土) 21 48 00.60 ID P2KazDhL0 まんがまどか昔ばなし 153. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/27(土) 21 51 03.53 ID ssLRmZ4U0 ほむら「相変わらず良い腕ね、あなた」 さやか「誰と話してんのよ」 マミ「ここここ、この私の口からティロ・【まんがまどか昔ばなし】なんて技名が……」ガクッ 杏子「マンガマドカムカシバナシ、字面だけなら何かの呪文だな」 ほむら「まんぎゃまd……っ」ガリッ まどか(噛んだ) さやか(噛んだ) マミ(噛んだ) 杏子(何食ってんだろう) ほむら「……締切は22:10よ」 154. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/27(土) 21 51 47.09 ID wlXmHQm30 むかーしむかし、あるところに、ほむらおじいさんとまどかおばあさんが一緒に暮らしていました。 まどか「いやあああああああああああ!!!」 めでたしめでたし。 155. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/27(土) 21 52 43.14 ID vawLnM5o0 さやか「なんだこれ…こぶとりマミさん!?」 156. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/27(土) 21 52 44.35 ID kMULDIh50 ほむら「舌切りすずめって―――知ってるかしら?」シャキーン QB「えっ?」 157. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/27(土) 21 54 38.80 ID QL6HDdmm0 まどか「ほむらちゃんはおばあさんになりましたが竜宮城パワーアップした魔法を使ってすぐ過去に戻りました」 まどか「お終い」 さやか「……なんだそりゃ」 158. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/27(土) 21 56 49.49 ID mSewC7gc0 むかしむかしあるところに、まどまどとほむほむというそれはそれは仲のよい二人がいました。 ほむほむ「まどまど、私は山へしばかりに行ってるわ」 まどまど「そう、じゃあ私は川へ選択にいこうかな」 まどまどが川で洗濯していると、遠くから白い生き物が流れてきました QB「どんぶらこどんぶらこ」プカプカ まどまど「ん?何か流れてる?」 ヒュッ QB「やあまどまど、僕と契約してまh……」スパーン ほむほむ「……っし!」グッ まどまど「か、川の中に沈んじゃった……って、ほむほむちゃん!?」 ほむほむ「あらまどまど、しばかりが終わったから水切りして遊んでいたの。貴女もどう?」 まどまど「わーい、まぜてまぜてー」 QB「二人はいつも仲良しだったとさ。めでたしめでたし」 159. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/27(土) 21 56 58.92 ID StLWaujr0 ほむら「しまった、胸にお経を書くのを忘れていたわ。このままだと・・・」 怨霊「もってくものがないな」 ほむら「!?」 160. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/27(土) 21 57 36.05 ID MkncKa8PO まどか「坊や〜良い子だ金だしな♪」 ほむら「」 161. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/27(土) 21 57 46.33 ID o3AV4QIN0 ほむら「お尻を出しなさい、まどか…それであなたは一等賞よ」 まどか(どうしよう、意味がわからない…) 162. @ 2011/08/27(土) 21 58 46.63 ID hCbsw1ZO0 まどか「白くてかわいらしい生き物が罠にかかってる!助けてあげよ!」 その晩 まどか「こんな夜更けに誰かなー?」 QB「やぁ!ボクは昼間キミに助けてもらった白くてかわいらしい生き物だよ!恩返しに来たんだ!」 まどか「えっ、恩返しだなんていいよ〜」 QB「そう遠慮しないで!」 QB「さぁ鹿目まどか、キミの願いを言ってごらん−−」ニヤリ 163. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/27(土) 21 58 55.38 ID crKD6M1i0 ほむら「…」 「おやお客さん、何だか慌ててるようだね」 ほむら「そこの堀で釣りをしてたら化け物が出てきたの」 「へぇ〜その化け物ってのは、こんな顔だったかい?}キュップィ ほむら「…」バン! スタスタ 「おやどうしたんだねこんな夜n」バン! 「お前さんが見たのはk」バン! ほむら「今日は101匹か、まあまあね」 めでたしめでたし 164. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/27(土) 21 59 11.10 ID M1bNYpJc0 マミ「いやあああああああああああ恵方巻きに乗ったぬいぐるみが襲い掛かってくるううううううううううううううう!!!!」 165. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/27(土) 21 59 40.30 ID ssLRmZ4U0 ほむら「私にとっては昔話だけれど――」 ほむら「あなた達にとってはたぶん、明日の話よ」ドヤッ 166. @ 2011/08/27(土) 22 01 44.94 ID mLC770x60 ほむら「この辛い日々が、喜劇となる日を目指して…」 167. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/27(土) 22 05 43.28 ID zonHqGdb0 まどか「ただいまー。川で洗濯してたんだけど、」 まどか「そしたら川上からマミさんが流れてきたんだよ!」 ほむら「あら、じゃあ早速切ってみようじゃない」 ザシュ まどか「わあ! マミった首から赤ちゃんが出てきたよ!」 ほむら「マミさんから生まれたからこの子の名前はあんこでいいわね」 杏子「きょうこだっつってんだろ」 QB「違うよ! ツッコむべきところが違うよ!」 さやか「そうだぞー! そのシナリオじゃあ私が手下の動物か鬼になるじゃないか!」 QB「そこでもないよ!? わけがわからないよ!」 168. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/27(土) 22 05 52.22 ID hMFR7iQ50 キュゥべえ「信じられないのなら見せてあげようか?」 キュゥべえ「インキュベーターと人類が歩んできた歴史を……」 まどか「……」 キュゥべえ「……『しょうじょとけいやく』。むかーしむかし、あるところに」 まどか「昔話!? しかも紙芝居……」 キュゥべえ「しまった、僕の手じゃ紙がめくれない」 まどか「……やっぱりいい」 169. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/27(土) 22 07 33.83 ID SkIQEum40 むかーしむかし、ある所に、人を騙しては悪さをする、きゅぅべぇという動物が、おったそうなー QB「やあさやか!僕と契約してよ!」 さやか「いやだー、きゅぅべぇとはなしをするなって、おっとぉに言われただー」 QB「どうしたんだいさやか?なんだか話し方が訛ってて語尾が延びてるよ?」 さやか「まどかが『日本昔話の世界にしてほしい』って願いを叶えただー」 QB「ああ、そういえばそんな願いだったね、っていうか声も変わってるよね」 ほむら「そうだー、そのおかげてワシ等皆日本昔話風になっただよー」 QB「お、同じ声!?」 マミ「きゅぅべぇ、メシ食ってけー」 QB「な、何なんだいこの山盛りゴハンは!?」 170. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/27(土) 22 07 45.16 ID gBNDLtxJ0 杏子「食うかい?」つきび団子 171. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/27(土) 22 09 23.24 ID LNQjSAy70 さやか「あるところに人魚姫という女の子がいました」 さやか「その娘はある日とあるきっかけから地上の王子様を助けてあげました」 さやか「でも人魚の彼女ではそのことを伝えることはできません」 さやか「そこで人魚姫は知り合いの魔女に頼んで」 さやか「その美しい声と引き換えに人間の姿を授かりました」 さやか「そして彼女は王子様に想いを伝えようと試みます」 さやか「でも彼は自分を助けた人を別の人だと勘違いして」 さやか「そんな勘違いによって人魚姫の想いは水泡と化してしまいました」 さやか「…彼女は彼を殺したかった、でも彼女は優しすぎてそれができなかった」 さやか「結果彼女は自分自身を殺して」 さやか「切ない想いと一緒に文字通り水泡と化して消えてしまいました…」 まどか「…さやかちゃん…それ、日本の昔話じゃないよ…?」 さやか「うん…知ってる」 さやか「でもあたしさ…これ見ると切なくなっちゃうんだよ」 さやか「なんかやけに感情移入しちゃって…」 さやか「なんでだろ…」 さやか「まどか…なんでなのかな…?」 172. @ 2011/08/27(土) 22 11 03.47 ID L94EeEHP0 ほむら「さぁ、歌ってごらん……」 さやか「それって昔話?」 ほむら「そうだと思うわ」 さやか「ふーん。 じゃあ……貫いてくれようろんぎーぬすー!」 ほむら「青だけに青き伯爵の城ね」 さやか「私はだれよりも愛していたからー」 ほむら「君を魔女として断罪した恩知らずな豚共を私は許しはせんぞー!」 さやか「なんていうか……愛よね」 ほむら「どうして人間は愛と性欲を切り離せないのかしら」 さやか「あんたのことじゃん」 ほむら「昨日の夜はあなたが誘ってきたじゃない」 さやか「……」 ほむら「……」 さやほむ「次の曲行きましょう」 173. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/27(土) 22 11 45.33 ID gtSaO1f00 ほむら「このキュゥべえの灰を撒けば…」バサァ まどか「服が灰まみれになっちゃったよ〜」 ほむら「まあ大変、着替えを手伝ってあげるわ」サッ 174. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/27(土) 22 13 50.33 ID ssLRmZ4U0 まどか「そこまでー」 ほむら「過去のまどかを忘れはしない、けれど今のまどかも大事なの!今昔まどか話なの!!!」 マミ「錯乱してるわね」 杏子「佐倉ん?」 さやか「はいはい、馬鹿言ってないで早く投票しちゃってよ。22:30までしか待たないよ?」 175. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/27(土) 22 14 27.93 ID o3AV4QIN0 160 いくらと言わずに財布ごと〜♪ 176. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/27(土) 22 14 53.02 ID vawLnM5o0 159 よかったねほむらちゃん 177. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/27(土) 22 15 29.30 ID wlXmHQm30 159 178. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/27(土) 22 16 05.19 ID crKD6M1i0 169 QBが市原悦子だとほかは常田富士男ってことか 179. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/27(土) 22 16 05.54 ID P2KazDhL0 167 180. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/27(土) 22 16 30.14 ID SkIQEum40 162 この淫獣恩を仇で返す気満々じゃねえか 181. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/27(土) 22 19 12.79 ID CPPwTk9Z0 168 どこか抜けてるQB 182. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/27(土) 22 21 03.89 ID hMFR7iQ50 167 キュゥべえかわいい 183. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/27(土) 22 21 23.47 ID QL6HDdmm0 161 ウケタ 184. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/27(土) 22 22 07.66 ID LNQjSAy70 166 ほむほむぅ… 185. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/27(土) 22 22 19.15 ID oNXWBZePP 164 だめだ、絵面が浮かんでしもうたorz 186. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/27(土) 22 24 24.25 ID gBNDLtxJ0 159 187. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/27(土) 22 28 48.18 ID jfMurroS0 161 188. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/27(土) 22 32 41.25 ID ssLRmZ4U0 ほむら「はい結果ほむんっ!」ホムッ 159 3 票 「よかったねほむらちゃん」 161 2 票 「ウケタ」 167 2 票 「キュゥべえかわいい」 160 1 票 「いくらと言わずに財布ごと?♪」 162 1 票 「この淫獣恩を仇で返す気満々じゃねえか」 164 1 票 「だめだ、絵面が浮かんでしもうたorz」 166 1 票 「ほむほむぅ…」 168 1 票 169 1 票 「QBが市原悦子だとほかは常田富士男ってことか」 マミ「またずいぶんと混戦ね」 まどか「そんな中勝ち抜いた 159さんが次の進行だよ!」
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「――矢車、さん?」 ぽかんと大口を開けて驚く加賀美。 マミ以外の面々も、驚きを隠せないでいた。 「ま、マミさんの同居人って……男の人だったんですか……」 「マミさん、年上のこんなイケメンと同棲とは――」 「だからそういうのとは違うって言ったでしょう……」 とは言っても、加賀美以外の二人の驚きは、思春期の女の子相応の 色恋への好奇心から来るそれだったようだが。 矢車はその場を軽く見回し人数を確認すると、静かに口を開いた。 「麻婆豆腐は食ったか?」 「まだ頂いてはいないけど……そのうち食べるわ」 「……そうか」 矢車は一言だけ返すと、リビングから出て行った。 すぐに聞こえたのは軽いパタンという音で、それが冷蔵庫を開け閉めする音なのは その場の誰もが経験から推し量れた。 マミはそれを聞くやクスリと笑うと、時計を見やった。 さやかとまどかもそれを追って時計を見やるが、 加賀美は未だに矢車が言ったキッチンの方向を見ている。 「え、あぁもうこんな時間かぁ……そろそろ帰った方がいいかな?」 「それについて、ちょっとお願いがあるんだけど……」 まどかが鞄に手を伸ばそうとするが、マミはそれを遮った。 マミは微笑みながら人差し指を立てて、こう提案する。 「皆さん、今日は夕飯をうちで食べていかない?」 「おお、マジっすか!?」 その提案にすぐに食いついたのはさやかだった。 さやかは膝立ちになるほどにテンションを上げる。 「さ、さやかちゃん落ち着いて……。 でも、いいんですか? お夕飯にお邪魔しちゃって」 「手作りの飯が食えるのはありがたいけど……いいのか?」 「大丈夫、いつも二人だし……それにあの人、もう人数分作っちゃってるわ」 キッチンからは、炒めものをしている音が聞こえてきていた。 夕飯の準備をしているのだろう。 「矢車さんが夕飯を……なーんか想像できないんだよなあ」 「まあ、あの人も作る時とそうでない時があるし……。 帰ってこない事も多いから」 結局一度も矢車の料理を口にしていない加賀美は、不安そうな表情で呟く。 その言葉を聞いて、さやかは思い出したように一度キッチンの方を向くと、すぐに マミに向かい直った。 「そうだそうだ! マミさんとあの矢車さんってどんな関係? 加賀美とも知り合いみたい だったけど」 「加賀美『さん』ださやか。 ……でもそれは俺も気になってたんだよな。 マミちゃんと矢車さんの関係」 加賀美はやっと落ち着いた様子で、足を崩してからマミに問う。 「うーん、ああ、えっと……どう説明したらいいのかしら?」 マミは紅茶を一口飲んでから、再び困ったように笑う。 「ちょっと前に魔女を狩っていた時、ドジっちゃったことがあって……。 その時に助けてくれたのが『マスクドライダー』に変身した矢車さんだったの。 それが縁になって、色々あって今みたいな事になってる……って感じかしら」 「ちょっと前って言うと、どの位なんだ?」 マミはカレンダーを軽く見て、指差し確認をしてから答えた。 「丁度一年と四ヶ月前ね。 あの時はワームの騒動があって、色々ごたごたしてた 時期だったの。 皆が不安になってたせいで魔女も活発になってたから、忙しくて……」 「一年と四ヶ月前か。 ……と言うとあれから二ヶ月の時か……」 誰にも聞こえないように加賀美が呟く。 ネイティブとの最終決戦から今までは一年半経っているので、矢車はそこから二ヶ月後 にマミと出会ったことになる。 「あ、ちょっといいですか? あの、さっきから出てくる『マスクドライダー』……? って何ですか?」 「そうそう、その単語の意味が分かんなくってついて行けないんだよ」 「私も詳しくは聞いてないわね。 矢車さんはあんなだし、加賀美さんにお伺いしよう かしら」 三人の視線が一斉に加賀美に集まる。 加賀美は複雑な表情で黙りこみ、その場を見回した。 「ん、あ、いや、それは……あの――」 「おい」 「――矢車さん!?」 どう答えようかと悩んでいた加賀美に、思わぬ救いが現れる。 それは、麻婆豆腐を盛った大皿を持っている矢車その人であった。 「……飯だ」 「叶えたい事、かぁ」 「そんなにして悩む必要は無いと思うけどね」 あくる日の朝、まどかは通学路で昨夜の事を思い出しながら呟いた。 その肩にはキュゥべえが乗っており、時折あくびをしながらまどかに 語りかける。 キュゥべえの言っていた通り、人とすれ違っても誰もキュゥべえに気づいていない様子で、 まどかはより自分の置かれた状況を思い知ることになった。 そのまま歩いて行くと、いつも通りの場所でさやかと仁美が待っている場所が 見えてくる。 「おっはよー!」 「おはようございます、鹿目さん」 「おはようまど――うえぇ!?」 まどかが二人に向かって手を振ると、さやかと仁美はそれを返してくれる。 が、ある程度距離が縮まると、さやかは驚きの表情を浮かべた。 まどかの肩に乗っている小動物、キュゥべえの存在にである。 「おはようさやか」 そんなさやかの態度を気にも留めないキュゥべえだったが、やはり仁美はその 存在を認識していないようだった。 さやかは足早にまどかに近寄り、耳打ちする。 「……やっぱり、あたし達にしか見えないんだ?」 「そうみたい……」 さやかがきょとんと立っている仁美をちらと見ると、仁美は首を傾げた。 「あ、いやいや何でもないって! さ、行こ行こ!」 そう言ってさやかはごまかし、仁美を押して再び学校に向けて歩き出した。 仁美はやや不思議そうな顔をしながら、さやかに流されるがまま歩いて行く。 しかしすぐさま歩みは止まった。 さやかの頭の中に直接まどかの声が届いてくるのだ。 「(頭で考えただけで、会話とかできるみたいだよ)」 突然の出来事に、さやかは肩をびくんと震わせると、すぐさま振り向いた。 まどかが言っていた――口には出していないが――ように、自分も思考を まどかに向けてみる。 「(嘘!? 私達、もうそんなマジカルな力が?)」 「(いやいや、今はまだ僕が間で中継しているだけさ)」 キュゥべえは内緒話には便利だと言い足し、にっこりと笑った。 「(なーんか、変な感じ……)」 さやかは納得しつつ、再び歩き出した。 当然ながら、この間のやり取りは仁美には聞こえていない。 何事も無かったかのように歩き出す二人に、仁美は不審の眼差しを向けた。 「お二人とも、さっきからどうしたんです? しきりに目配せしたりして」 「え、あ、いやぁこれは……」 「んー……」 二人は気まずそうにまた目配せをしながら言い淀む。 その様子を見て何を思ったのか、仁美はバッグを落とし、ワナワナと口を震わせた。 「ま、まさかお二人とも……私の知らない間にそんな間柄に……!?」 「いやそれは流石にねーわ」 突拍子も無い仁美の言葉に、さやかはすぐさま否定の言葉を加えたが、 仁美はそれでも妄想を止めようとはしなかった。 「いけませんわお二方……女性同士で……。 それは禁断の愛ですのよぉぉぉぉ!」 大声で叫びながら、仁美は鞄とドップラー効果だけを残して走り去っていった。 「鞄忘れてるよー……はぁ……」 「まるでいつものお前だな、さやか」 「あ、天道さ、先生」 「学校までは天道さんか天道様でいい。 あと、学校にペットを連れてくるな」 「いや様は無いわ……」 走り去った仁美と入れ替わりに現れたのは天道であった。 天道は仁美が見えなくなると、まどかに視線を向けた。 その視線の先には、見えないはずのキュゥべえ。 「まどか、まさかその生き物を学校に連れて行くつもりか?」 「あ、はい。 ……って」 「見えてるぅ!?」 「(ま、また僕が見える人に会ったね……びっくりだよ)」 天道がキュゥべえを視認出来ていることに、三者は驚きを隠せない。 逆に天道はそんな三者に、正確に言えばまどかとさやかに怪訝な表情を向けた 「見えない筈が無いだろう。 ……そういう設定なのか?」 「え、ああまあそういうことですよアハハハハハ……」 「こ、このぬいぐるみの設定なんです……」 しどろもどろになりながらも、二人は必死で繕おうとする。 天道は二人を怪しみながらも納得したようで、ふむ、と頷いた。 「そうか。 ……まあそれくらいなら問題なかろう」 そう言うなり、天道はあろうことかキュゥべえに手を伸ばした。 まどかにそれを避けるほどの反応はできず、それを許してしまう。 「あ、あぁっ……!」 この世の終わりのような声を上げるさやかだったが、それは杞憂に終わった。 キュゥべえは実に上手くぬいぐるみの真似をやってのけたのだ。 あまりに本物に近い(実際に本物なのだが)キュゥべえの感触に多少関心しながら、 天道はキュゥべえをいじくり回す。 その間もぬいぐるみの役を実に上手くやってのけるキュゥべえに、二人は涙を流しそうにすらなった。 「……学校では出すなよ。 流石にかばってはやれんからな」 「は、はい」 まどかがいそいそとキュゥべえを鞄の中にしまう。 天道はそれを見届けると、すぐに歩きだした。 と、しかしすぐに立ち止まる。 「……む」 「わたぁっ!」 天道の真後ろを歩いていたさやかが思い切り天道の背中にぶつかり、 すぐに非難の眼差しを向けた。 しかし天道はそれには全く反応せず、ただ後ろに振り向いただけだった。 その目はさやかには向けられていない。 その目線の先には、何も無いように思われた。 「あ、あの、天道さん?」 さやかがおずおずと天道に声をかけた。 「……お前達、先に学校に行っていろ」 「それってどういうこと――」 「俺は今日少し遅れるかもしれん。 そう伝えておけ」 そう言うと、天道はすぐに道を逆行した。 「て、天道さん! サボりはダメだよぉ!」 「ま、待ってまどか! もう時間、時間!」 まどかはそれを止めようと走りだそうとするが、時間がそれを許さない。 余裕が無いわけでは無いが、天道を追いかけるだけの時間は残っていない。 結局まどかは方向転換してから必死に走ることになった。 「お、お前らおはよ――」 「ご、ごめん加賀美! 今急いでるから!」 「ごめんなさい加賀美さん!」 「お、おお……頑張ってこいよー」 通りがかった加賀美も、二人の急ぎように目を白黒させた。 二人を見送ると、加賀美は再び自転車を漕ぎ出した。 そう、天道の歩く道と同じ道を。 一方、天道はというと―― 「……そろそろ出てきたらどうだ」 ある程度歩くと天道は立ち止まり、そう声を上げた。 人気の無い通学路。 天道の正面に、一人の男が踊り出る。 その男の名は、風間大介。 「……お前か、風間」 「ええ、お久しぶりですね。 相変わらず小憎らしい顔をしていて安心しましたよ」 嫌味を言う軽口。 しかしその表情は真剣で緊張感に満ち満ちていた。 天道はその表情から何かを感じ取ると、小さく笑いながらゆっくりと風間を見据える。 「どうやら再開を喜ぶ時間は無いようだな。 ……何の用だ」 「……簡単な事です。 僕が君をわざわざ尋ねる理由なんて一つしかない」 そういうと、風間は素早く『何か』を取り出した。 それは正しく、銃のグリップ部。 天道はすぐさま身構え、カブトゼクターを呼び出す。 同時に飛来するのは、水色の機械トンボ――ドレイクゼクター。 ドレイクゼクターは、風間の頭上周囲をゆっくりと飛んでいる。 「……何があったんだ、風間」 「色々あるんですよ、僕にもね」 天道の手にカブトゼクターが滑りこみ、素早くベルトのバックルに装着される。 同時に、風間がかざしたグリップにドレイクゼクターが着地した。 「変身!」 二人が発声する。 それに応えるように、双方から電子音声が鳴り響いた。 『――Henshin――』 ――――「で、結局何なのさ? 『マスクドライダー』ってのは。 ……お、ありがとさんです」 「い、いやあまあそれは……あ、どうも」 矢車が麻婆豆腐を取り分けるのを受け取りながら、相変わらず加賀美は困っていた。 こんな少女達に真実を話してしまっていいものだろうかと、加賀美は考える。 何しろ重すぎる。 加賀美新という人間が経験した一連の戦いは、彼自身を大きく成長させた反面、 多くの悲劇を生んだからだ。 語り部が天道であるならば、それこそ偉大な英雄物語のように話せるのだろうが、 そうするにはいかんせん加賀美は『等身大』過ぎた。 加賀美自身、あの戦いの中には未だに納得の行かないものが多い。 友人の死や無駄な対立、巨大な陰謀。 特に陰謀については、その全てが潰えたとは未だに思えない。 把握出来ていない事柄が多すぎる。 なにしろ加賀美は脳筋だったのだから。 そしてその中でも取り分け大きく、彼の心に引っかかっていた気がかり―― それは、今正に自分の分の麻婆豆腐を取り分けている目の前の男だった。 『マスクドライダー』という存在だけを簡潔に説明するのも彼には難しい。 父に電話でもすればわかるかも知れない、しかし余計な心配は掛けたくない。 何より、確実にこの男、矢車想の話も必要になって来る。 この男については本当に分からない。 そもそもキックホッパー自体、加賀美にとっては謎だらけの存在なのだから。 敵か味方かも分からないレベル。 きっと敵では無いのではあろうが。 加賀美は麻婆豆腐を見つめながら、思考を巡らせる。 ふと顔を上げると、他の全員が麻婆豆腐に舌鼓を打っていた。 思えばこの麻婆豆腐は美味そうである。 流石に焦ってこれを一口一杯に頬張ってみる。 ゆっくりと噛み締め、飲み込む。 「……美味い」 思わずそう声が漏れる。 それほどの絶品料理であった。 それから数分、加賀美はただひたすら麻婆豆腐を掻き込み続けた。 夕食を終え、そそくさとリビングから出て行く矢車を見送ってから、 さやか達は再びマミからの説明を受けていた。 「あの転校生も、えっと……その……魔法少女、なの? マミさんと同じ……」 さやかがそう質問すると、マミは多少声のトーンを下げた。 さやかはそうでも無いようだが、まどかは不安そうなな表情でその答えを待った。 「そうね、間違いないわ。 かなり強い力を持った魔法少女みたい」 「でもそれなら、魔女をやっつける正義の味方なんだよね? それが何で、急にまどかを襲ったりしたわけ?」 「彼女が狙ってたのは僕だよ」 答えたのはマミではなくキュゥべえ。 キュゥべえは寝そべっている体制から座り直すと、軽く首を傾げながら続けた。 「新しい魔法少女が生まれるのを、阻止しようとしてたんだろうね」 さやかが、明らかな疑念を表情に浮かべた。 まどかも同じように、キュゥべえを見つめ、加賀美は神妙な面持ちで話を聞いていた。 「なんで? ……同じ敵と戦うなら、仲間は多い方が良いんじゃないの?」 その言葉に、マミは大きな溜め息を吐き、憂いの表情を浮かべる。 その目は伏せられ、紅茶の水面を見つめていた。 「それがそうも行かなくってね……むしろ、競争になる方が多いくらい」 「そんな……どうして……?」 そう言うと、まどかはすがる様に加賀美に顔を向けた。 加賀美はそんなまどかの視線に気付くと、ゆっくりと首を横に振る。 マミは一瞬そんな加賀美を見てから、話を続けていく。 「魔女を倒せば、それなりの見返りがあるの。 だから、時と場合によっては手柄の取り合いになることもあるのよ」 「……わかるよ、そういうの」 しばらく沈黙を守っていた加賀美が、遂に声を上げる。 加賀美は自分に視線が集まっていることを感じながら、決意を持って顔を上げた。 「例え同じ使命があったとしてもさ、皆考えてる事って違うだろ。 だから、ぶつかり合うこともあるさ」 「でも……」 まどかが、縋るように加賀美を見つめた。 その瞳には、うっすらと涙が浮かんでいる。 「俺達ライ――警察官もさ、あったからな……そういうこと」 普段の彼からは想像もできない様な、重く悲しげな声。 その場の少女達は、彼の言葉に、ただただ押し黙るしか無かった。 「……ん?」 しかし、そんなつもりが加賀美には無かったのも事実である。 加賀美は周りの状況を察すると、慌てて明るく声を掛けた。 「あ、ああいやいや! 俺達、結局分かり合えたからさ! マミちゃん達だって大丈夫だって! そう言いたかっただけだから!」 加賀美が場の雰囲気を元に戻そうと、必死に声を上げる。 「そ、そういえば美味かったな~あの麻婆豆腐! ありゃ絶品だ! まどかもそう思うだろ? な?」 「え、ああ、はい……?」 「いやそうじゃなくて……あぁそういえば矢車さんはどこに行ったのかな~! 気になるな~!」 「さ、さぁ……?」 「う、う、うおおおおおおおおおお! 空気が重いんだよおおおおおおお! 俺か? 俺が悪いのか!? そうか俺か! すまん、すまんからそんな顔しないでくれ!」 平謝りすら始めた加賀美。 まどかやマミはそれに圧倒されながらも、それでもその顔からは 先のような重苦しい表情は拭い去られていた。 頭をブンブンと振りながら、もはや謝っているのか怒っているのかすら 分からない加賀美に、最初に笑顔を向けたのはさやかだった。 「……あはは」 小さく、呆れたように笑い声を上げる。 その真意を知ってか知らずか、加賀美は歌舞伎役者のような顔でさやかに視線を向けた。 「んん?」 「いーや? 加賀美はやっぱり加賀美だなぁ、って」 ね、とさやかが二人に問うと、他の二人も微笑みを浮かべて頷いた。 三人の表情には、もう重い物は無い。 「うん。 加賀美さんは加賀美さんだね」 「ええ、分かりやすい人ね」 「お、お前らな――」 「うん……でも、分かりました」 マミは、ゆっくりと紅茶を口に運ぶと、大きく息を吸った。 静かにティーカップを置き、もう一度頷く。 「……私も、少し頑張ってみます。 あの子と私が、戦う事にならないように」 「マミちゃん……! そう! そうだ! そうだそれがいい! 俺も全力で応援する!」 加賀美は勢い良く立ち上がり、マミに詰め寄るとその手を取る。 「頑張ろうぜ!」 握手しながら、二人の手がぶんぶんと縦に動く。 マミは苦笑いして半身下がりながらも、その手を振り払ったりしない。 さやかとまどかも、それを見て楽しそうに笑っていた。 しかし、何事もそう上手くは行かないもので。 「水をさすようで悪いんだけどね」 キュゥべえの、透き通るような声が場を静めた。 「無理だと思うな、それは」 「……え?」 場が一瞬にして凍りつく。 皆一様に理解が追いつかず、ただただ目を見開いて動きを止める。 「お、おいおいちょっと待てよ……なんだよ、どういうことだよ……?」 一番最初に動き出したのは加賀美だった。 マミの手から手を離し、そのままキュゥべえに手を伸ばす。 しかしキュゥべえは、上手く身を翻してその手を避けた。 キュゥべえはまどかの肩に飛び乗り、話を再開した。 「力の差が大きすぎるのさ。 マミの力に暁美ほむらはついて行けない筈だよ」 「どうして? ……彼女もかなり大きな力を持っている、そう言ったのはあなたよ」 嘘を吐かれたと思ったのか、マミは多少強い口調でキュゥべえに問いかけた。 しかしキュゥべえは動じるわけでも無く、あくまで無感情にそれに答える。 「確かに言ったね。 でもそれはあくまで普通の魔法少女としては、という事だよ」 「普通の、ってどういうことさ?」 さやかが発するのは当然の疑問であった。 それは当のマミも同じであり、ある意味最も今の言葉に疑問を覚えているのも彼女である。 「私と彼女では何か違うの? キュゥべえ」 「何か、というよりもね……何もかもが違うよ。 そもそも彼女の存在は異質だ。 普通、魔法少女になる子は 僕と契約して魔法少女になるんだけど……」 「あの子は違うのか?」 「そうとも言えるし、そうでないとも言える。 だからこそ僕は彼女を信頼できない」 「訳分かんないよそれ……でも、もしマミさんと転校生が戦ったら――」 「考えるまでも無い。 マミが彼女に圧勝するね」 加賀美達も、マミの力ははっきりと目撃している。 その為、それを直接否定する事もできない。 しかしほむらの力が未知数なのもまた事実であった。 「待てよ……お前は知ってるのか、あの子の実力」 「はっきりとは見てないけど……大体は察しがつくな。 さっきも言った通り、彼女は強い力を持ってはいるよ? でも、それでもマミの足元にも及ばない。 才能からしてマミは凄まじかったからね」 キュゥべえが言うには、マミの持つ魔法少女としての実力は、加賀美達の見たそれを遥かに 上回るという。 ライダーシステムに頼らずにそれだけの力を、しかもこんな少女が発揮する。 加賀美はその事に背筋を凍らせた。 「じゃ、じゃあマミさんが手加減すれば……」 「手加減すれば今度はマミがやられるかも知れないよ? 魔法少女同士、何が起こるかは分からないんだから。 それとも、ただ仲良くする為にマミが命を張るのかい?」 キュゥべえが言葉を発するたび、少女達はその顔を諦めに染めていく。 キュゥべえはそれを後押しするように、彼女達に現実を叩きつけ続けた。 加賀美は言葉より行動を選ぶ男である。 故にキュゥべえの言葉に論理的な反論はできない。 加賀美は大きく息を吸い込み、ゆっくりと吐いた。 そして震えるまどかの肩に手を乗せ、優しく声を掛ける。 「……大丈夫だ、まどか、さやか……マミちゃん」 「加賀美さん?」 そして今度は強く、毅然とした声で宣言する。 「そんなことは、絶対にさせない。 俺が止めてみせる。 ……それでいいだろ」 言葉で言い表せることができないからこそ、短い言葉で。 それは、何度も自分と向き合ってきた加賀美だからこそ可能な事。 キュゥべえは尾の動きを止め、今度はテーブルの上に陣取る。 「僕は構わないけどね」 そう短く告げると、キュゥべえはテーブルから降り、リビングから出て行った。 すぐさまさやかが加賀美に手を伸ばす。 「ねえ加賀美――」 「すまん、ああ言うしか無かった。 でも本当だ、信じてくれ」 「……うん」 先ほどと同じ、重い物を感じさせる加賀美の声。 さやかは、ただ言われる通りに黙るしか無かった。 それから数刻は、無言の時となった。 誰も一言も発さない。 少女達は複雑な表情を作り、俯いている。 厳しい現実と、加賀美の言葉。 加賀美の発した言葉が嘘ではないことは分かっても、ただそれができるのかが分からない。 笑顔になればいいのか、泣けばいいのか、怒ればいいのか。 どうすることが正しいのかが、判断出来ないでいた。 一方加賀美は、何か考え事をしている様に口に手を当てていた。 しかし、少女達の表情に気づくと、すぐに顔を切り替える。 「……そんな顔すんな。 大丈夫だからよ! ……き、今日の所はもう解散だ! もう時間も時間だしな」 時計の針はもう大分進んでいた。 中学生にはかなり遅い時間である。 しかしさやかは納得が行っていない様子で、口をすぼめた。 「んー……帰っちゃっていいのこれ?」 それはマミやまどかも同じだったようで、同調するように二人で頷いた。 だが加賀美もこれで警察官の端くれ。 少女を遅い時間まで帰宅させない訳にも行かない。 「それはまた今度だ。 さ、俺が送って行くから準備しろ」 こうして、加賀美達三人は、マミ宅から帰宅することになった。 まどかは納得したようだったが、さやかはまだ少し不満げな表情を浮かべていた。 そして数刻経ち―― 「じゃあな、また明日」 「はい、ありがとうございました」 さやかを送り終え、加賀美はまどかの家の前までまどかを送り終える所だった。 まどかが扉を開け、家に入るのを確認すると、加賀美も帰路に着こうと方向を変える。 が、加賀美が自転車に跨った所で、少女の声が彼を引き止めた。 「加賀美新」 「ん? ……お前は……」 加賀美が振り向いて確認すると、そこにいたのは黒髪の少女――暁美ほむらだった。 これは好機とばかりに、加賀美は彼女に明るく話しかけた。 「奇遇だなあ! そうだ、俺が家まで送って――」 「聞きたいことがある」 加賀美とは対照的に、ほむらは冷たい声で彼の声を遮った。 無表情に、抑揚の少ない声で彼に問いかける。 「『黒崎一誠』」 一言、ほむらはただそう言った。 加賀美は顔をしかめて問い返す。 「くろさき……?」 「聞き覚えは?」 「……無い、けど」 加賀美にとっては聞き覚えの無い名。 黒崎一誠。 それは、今の彼が知り得るはずのない名。 「人探しか? なら、その人の特徴とか、顔写真とか――」 「結構よ。 恐らく『ここ』には居ないから」 「は? え? あ、ちょっと待っ――」 それだけを聞くと、ほむらはそこから姿を消した。 その場から消滅するように、瞬間的に消えた。 加賀美は彼女の持つ力に驚きながらも、その名を頭の中で探していた。 「黒崎……黒崎……やっぱ知らないな」 そう呟くと、気を取り直して自転車を漕ぎかけるが、また彼は呼び止められた。 「おい新!」 「鹿目さん?」 ほむらとは違い快活な声で呼ぶのは、まどかの母だった。 まどかの母は加賀美に向かって手招きをしている。 それに従って加賀美は自転車を降り、ドアの前まで歩いて行った。 「こんばんは。 どうしたんです?」 「おおこんばんは。 まどか、送ってくれたんだってね。 ありがとな」 「当然の事をしただけっすから」 当たり障りの無い会話をしながら、加賀美は疑問を浮かべていた。 わざわざ呼び止めながら、こんな会話だけな筈が無い、と。 その予感は当たっており、まどかの母は数分経ってやっと本題を切り出した。 「ちょっとウチに寄ってきなよ」 「……はあ。 でももう時間が」 「今来てる客人がさ、加賀美の名前聞いたら『呼んで欲しい』って言ってね」 「俺を……?」 まどかの母も、若干困ったような表情を浮かべた。 加賀美はそれ以上に頭上に疑問符を浮かべていた。 「だからさ、頼むよ」 両手を合わせて頼み込んでくるまどかの母に、加賀美はすぐに折れた。 「まあ、そういう事なら……」 「すまないね、こんなこと言って」 そう言うと、加賀美はまどかの母に案内され、家の中へと入っていった、 「ほら、連れてきたよ」 リビングへ着くと、そこには三人の人物が椅子に座っていた。 そのメンバーを確認すると、二人ほど彼にとって見覚えのある顔がある。 加賀美は驚きの表情を浮かべ、叫んだ。 「岬さんに……天道おおおおおお!?」 BACK まどか「マスクドライダーシステム?」 3 Next まどか「マスクドライダーシステム?」 5
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ほむらの転入から一ヶ月前―― 天道総司は、バチカン市国を歩いていた。 あまりに場違いな作務衣、軽やかな音を立てる下駄。 そしてどこで手に入れたのか、ボールの中には豆腐。 天道は、やはり豆腐を買いに来ていた。 今日はどこで料理を作るか。 ――教皇に食べさせるのもまた一興かも知れない。 天道の料理行脚は果てしなく続いていた。 「お、お前は……」 一年半前のあの時、世界規模で有名になった自分の姿。 今まで何度外人に呼ばれたことか。 その度に天道は言ってやる。 「おばあちゃんが言っていた。 俺は天の道を往き、総てを司る男…… 天道総司だ」 と。 そんな天道に変化が訪れた。 道路を歩く天道の眼前を横切る物―― それは、天道にとって余りにも見慣れた物であった。 「……カブトゼクター?」 今、自分はカブトゼクターを呼び出してはいない。 戦いは終わったのだ。 しかし、天道以外でカブトゼクターを呼べる者―― ネイティブがここにいるのなら、いや、ネイティブがカブトになるような事態なら、 見過ごすわけにはいかない。 天道は、迷わずカブトゼクターを追いかける。 カブトゼクターを追いかけて路地裏に入ると、 天道はあっという間にカブトゼクターを見失ってしまった。 「この俺としたことが……。 しかし戦闘しているような音も聞こえないな…… 単に戦闘が無いのか、クロックアップしているのか……」 天道は不思議に思いながらあたりを見回す。 すると、ありえないものを見つけてしまった。 「ハイパーゼクター……だと?」 カブトゼクターとは違い、ハイパーゼクターは天道にしか呼び出せない筈。 ならば、あのカブトゼクターも、天道が呼んだ物。 そうとしか考えられない。 あたりを付けた天道は、誰もいない筈の場所で問いかける。 「何かあったのか。 未来の『俺』――」 どこからも答えは聞こえない。 その代わり、カブトゼクターが天道の下にやってくる。 その口には、一枚のメモ。 「なんだこれは……。 読め、というのか」 当然ながら、何も答えずにカブトゼクターは去っていく。 そのメモには、最低限の事しか書いていなかった。 『日本、見滝原に向かえ。 全てが手遅れになる前に。 黒い長髪の少女に気をつけろ。 ――天――』 「……まずは家に戻るか。 ベルトを回収しなければな」 こうして天道は、日本へと帰還した。 結局何をすればいいのかわからなかった天道は、見滝原でも料理行脚に 入ってしまったり、まどかの父に出会って料理対決をしたりするのだが、 それはまた別のお話。 「……なーんか暇だなあ」 昼食を食べてからもう3時間は経っただろうか。 加賀美は雑務もあらかた終わり休憩を取っていた。 普段なら、道に迷ったご老人や落し物を届ける人がいるのだが、 今日はただの一度も人が来ない。 することが無くなった加賀美がパトロールにでも行くかと考えていると、 机に乗せた携帯電話が鳴った。 目をやると、携帯電話のディスプレイには『美樹さやか』の文字が。 あの子は生意気だが、いたずら電話をするような子ではない。 加賀美は不思議に思いながら電話に出る。 「はいもしもし? どうしたんださやか――」 『助けて、加賀美! まどかが、まどかが!』 切羽詰ったようなさやかの声。 加賀美はすぐさま異常事態を感じ取り、外に出る準備を済ませながら答える。 「どうしたんださやか。 ……落ち着いて、何があったのか、そこはどこなのか 教えてくれ」 警察官として過ごした時間は、加賀美を確実に成長させていた。 加賀美は決して慌てず、さやかに問いかける。 『う、うん。 ……』 「……場所は……ああ、ここから近いな。 わかった、すぐに行く。 絶対に早まった行動はしないで待ってるんだぞ!」 さやかの口から出てきたのは、あまりに不可思議な状況。 突如居なくなったまどか、不思議な動物、そしてそれを追う転校生―― 加賀美の頭の中に、朝の出来事がよぎる。 なぜ、『あんな物』が置いてあったのか。 「……杞憂であってくれよ」 加賀美はロッカーを開け中のトランクを取り出すと、そのトランクの中身を 取り出した。 銀色のベルトが、光り輝く。 まるで戦いが始まることを、待ち望んでいるかのように。 「加賀美……頼むから、早く来てよ……」 閉鎖されたフロアの中―― 柱を隔てた向こう側のほむらとまどかに聞こえないように、さやかが呟く。 向こうでは、ほむらがまどかと言い合いをしていた。 まどかはその胸に、傷だらけの動物を抱えている。 その傷がほむらがやった物であろうことは、彼女の態度から分かる。 一触即発の事態。 今すぐにでも飛び出して、まどかを助けてやりたい。 しかし、信頼している警察官の指示を破る程、さやかは馬鹿では無かった。 幸い、ここから派出所は近い位置にある。 急いで来れば5分とかからないだろうし、あの熱血馬鹿なら もっと早く来るかもしれない。 そんな希望的観測が、さやかをかろうじて支えていた。 時間にして数十秒―― それが、さやかには数時間にも感じられる。 未だ加賀美は到着しない。 遂にほむらがまどかに向かって歩き出した。 まどかの眼前で立ち止まるほむら。 まどかは動物を抱え、庇うように構えた。 加賀美はまだ、来ない。 ――もう、無理だ。 今すぐ行けば間に合う。 まどかを、助けださなきゃ。 さやかは近くを見回す。 足元には、消化器。 無我夢中でそれを取り、走りだす。 柱の陰から飛び出し二人に近寄ると、迷いなく噴射口をほむらに向け、 安全ピンを抜く。 反動に耐えながら、まどかに声をかける。 「まどか、こっち!」 「さやかちゃん……!」 まどかが立ち上がり、自分の背後に回ったのを確認すると、 丁度消化器の噴射が止まった。 空の消化器を放り投げ、まどかの手を引き、その場から逃げ出す。 走る、走る、走る。 「……なんだよあいつっ! 今度はコスプレで通り魔かよ!? ていうか、何なのそれ……ぬいぐるみ、じゃないよね!?」 まどかも必死に走りながら、腕の中の動物を見つめる。 「わからない……。 でも、この子を助けなきゃ!」 二人の前から、大きな足音が聞こえてくる。 その足音の主は、やっと到着した加賀美であった。 「ごめん遅くなった! 二人とも無事か!?」 まどかとさやかは、やっと来た大人の存在に、安堵の笑みを浮かべた。 「だ、大丈夫です。 加賀美さん」 加賀美は、まどかの胸元に目をやると、怪訝な表情を浮かべる。 「その動物は……いや、今は早くここから――」 そう言い終わる瞬間、周りの世界が変貌する。 閉鎖された薄暗いフロアから、意味のわからない不気味な空間に。 その空間の中には、なんとも言えないこれまた不気味な存在。 飛び回る鋏、高い声を上げながらカタカタと動く、髭のついた綿。 「な、何よ、これ……」 「へ、変だよ、ここ……。 どんどん道が変わってく……っ」 「な、何だこれ……なんなんだよこれは……」 加賀美が、少女二人を庇うように立つ。 この空間は、危険だ―― 異常事態を感じ取った加賀美は、迷いなく近くの化物を殴り飛ばす。 「二人ともじっとしてろ!」 しかし、無情にも化物の数は増えていく。 化物はまどか達に近付き、今にも攻撃してきそうだ。 化物が舞い上がり遂にまとか達に降り注ぎ始める、その瞬間。 どこからとも無く鎖が現れ、まどか達の周囲を囲う。 すると、オレンジ色の光が、まどか達の周囲に降り注いだ。 光に当てられた化け物たちは、力なく倒れていく。 間違いなくチャンス―― 加賀美はすかさず手をかざし、強く念じる。 「(頼む……! 来てくれ、ガタックゼクター!)」 すると空中に時空の歪みが出現し、空間に穴ができた。 その中から現れたのは、青色のクワガタ――ガタックゼクター―― ガタックゼクターは加賀美の思いに答えて現れ、 真っ直ぐ加賀美の手の中に収まった。 加賀美が上着を捲ると、銀色の機械じみたベルトが露出する。 「またこいつを使うことになるなんて……変身!」 加賀美は叫び、ゼクターをベルトのバックルに装着した。 エコーのかかった電子音声が鳴り響く。 『Henshin』 加賀美の体に、機械仕掛けの鎧が装着されていく。 一瞬にして装着を終えると、加賀美はまた二人を庇うように構えた。 「か、加賀美、それ――」 「詳しい話は後だ! 今は俺から離れるなよ!」 しかし、周囲の化物は一向に動かない。 安堵の溜め息をつくまどか達とは逆に、加賀美は緊張感を高める。 不意に遠くからの足音が聞こえてくる。 加賀美は瞬時に音源に向き直り、肩のバルカンを待機させた。 「危なかったわね。 でももう大丈夫」 が、現れたのは化物では無く、一人の少女。 その手には鎖と、光り輝く黄色の宝石が握られている。 少女は加賀美達の目の前まで来ると、にっこりと笑った。 「……とは言っても、助けは要らなかったかしら? ねぇ、『マスクドライダー』さん」 「お、俺は……。 君はどうしてそれを――」 言い淀む加賀美の後ろから、まどかが声を上げる。 「わ、私……呼ばれたんです! この子に……『助けて』って……」 少女はまどかの腕に抱かれている白い動物に目をやると、 得心がいったように頷いた。 「……わかったわ、説明しましょう。 でも、その前に……」 少女は手に持っていた宝石を目の前に掲げた。 その瞬間、少女が光に包まれる。 光が収まり、その中から少女が現れると、その姿は制服姿から 舞台か何かの衣装のような服装へと変わっていた。 「ちょっと一仕事、やっちゃおうかしら!」 再び動き出す化け物達。 化物達は加賀美達から離れ、一斉に少女の下へと飛んでいく。 少女が飛び上がり、その腕を振るうと、数多のマスケット銃が どこからともなく現れ、一斉に弾丸を射出する。 轟音と共に、弾丸の雨が化物達に降り注いだ。 圧倒的な殲滅射撃となったその攻撃により、化物達は焼き消されていった。 空間が再び歪んで行く。 辺りを見回すと、そこは元のフロアとなっていた。 さやかとまどかは顔を見合わせ、そこでやっと笑みをこぼす。 助けてくれた少女の下に、まどかとさやかが駆け寄った。 「やっと戻った……!」 「あ、あの、あなたは?」 「そうね、先に名乗っておこうかしら。 私の名前は巴マミ。 で、その白いのが――」 「ま、待て三人共!」 その場が和やかな雰囲気になっていこうとするが、加賀美が声を張ってそれを 元の緊張の中に戻した。 新たな人影を、マスクドライダーの超感覚が捉えたのだ。 人影は、二つ。 「何か来る……気をつけろ!」 再びまどかとさやかの顔が強ばる。 先に現れたのは、先ほどの少女と似た意匠の服をまとった一人の少女。 やがてそれが目視できる位置までやってくると、まどか達は驚きの表情を浮かべ、 加賀美は素っ頓狂な声を上げた。 先に現れたのは、先ほどの少女と似た意匠の黒い服をまとった一人の少女―― 暁美ほむら。 「ま、また女の子ぉ?」 「ほ、ほむら、ちゃん……」 ほむらは冷たい視線をまどかに向けて、一度目をそらし、軽く後方を 見やる。 ほむらの後ろから出てきた人物を見た瞬間、加賀美が驚きの声を上げた。 「あ、あなたは……!」 現れたのは、加賀美とは違う鎧を纏った人物。 マスクに覆われた顔から表情は読み取れないというのに、 その身から陰鬱な『闇』を漂わせる者。 加賀美が、その名を呼んだ―― 「矢車、さん……!」 矢車と呼ばれた者は、加賀美に一瞥をくれると、すぐに視線を外す。 次に視線を向けたのは、マミ。 マミは、大して驚いた様子も無くその者に声をかけた。 「何の用かしら。 矢車想さん?」 マミは、『フルネーム』でそう呼んだ―― 「何の用かしら。 矢車想さん?」 マミは、『フルネーム』でそう呼ぶ。 矢車は何も答えず加賀美達を眺めると、無言で背を向けた。 マミはそんな矢車を見て穏やかにクスリと笑うと、次はほむらに視線を向ける。 「魔女は逃げたわ。 仕留めたいならすぐに追いかけなさい 今回はあなたに譲ってあげる」 怖い位に友好的な声色で、マミはほむらに話しかけた。 ほむらはあくまで無表情のまま、答える。 その目は、まどかの腕の中に向けられていた。 「私が用があるのは――」 「察しが悪いのね。 見逃してあげるって言ってるのよ」 マミは強い口調でほむらの言葉を遮った。 ほむらが黙ってマミに視線を向けると、マミは再び友好的な声色で問いかける。 「お互い、無用な争いは避けたいと思わない? 私はあなたに魔女を譲る。 あなたはここで手を引く。 それが今のベストだと思うのだけど」 そう言うと、マミは矢車に顔を向けた。 「矢車さん、彼女に付き合ってあげてくれないかしら」 「……」 矢車は何も答えず、ただマミに顔を向けた。 マミはそれを了解と受け取り、再びほむらに顔を向ける。 「矢車さんが居ればすぐに終わる筈よ。 ……それでもまだ用があるようなら、私の家に来なさい。 勝手に上がっても良いわ、鍵は矢車さんが持ってるから」 ほむらはマミに沈黙で返す。 了承では無いが、拒絶でも無い返事である。 ほむらはゆっくりとマミ達に背を向け、歩き出した。 矢車もそれに合わせマミ達に背を向ける。 が、加賀美がそれを呼び止めた。 「矢車さん! あなたなんでここに!? い、いやまあ いきなりなのはいつも通りですけど……。 影山さんはどこに――」 矢車は顔だけを後ろに向けた。 だが、マスクの向こうのその目は加賀美に向けられてはいない。 矢車がぼそりと呟く。 「……マミ」 「何かしら、矢車さん」 マミはそれに微笑みながら返す。 心からの穏やかさを表すような声。 「麻婆豆腐が作ってある。 ……食いたければ、食え」 それだけを言い残し、矢車は去っていった。 「ええ、頂くわ」 マミは静かに答えると、呆然と立っているまどか達に振り返った。 「……さて、それじゃ説明をしましょうか。 その前にキュゥべえの怪我を治したいから、ちょっとこっちへ来てくれる?」 まどかはそう言われ、はっとしたように返した。 「あ、はいっ!」 「あなたが、私を呼んだの?」 「そうだよ、鹿目まどか、それと美樹さやか」 まどかが聞くと、キュゥべえははっきりと答えた。 まどか達は、フロアの中でブルーシートを見つけ、そこに座ることにしていた。 そこでマミがキュゥべえに、先ほどのような不思議な力で治療を施したのだ。 加賀美は既に変身を解き、同じようにブルーシートに座っていた。 回復したキュゥべえにまどかが問いかけると、キュゥべえはまどか達の名前を言い当てたのだ。 困惑するまどかとさやかの横から、加賀美が手を挙げる。 「……あの、俺は?」 加賀美がそう聞くと、キュゥべえは驚いたような声を出した。 「……君は僕が見えるのかい?」 「いや、むしろなんで見えないんだよ」 「……僕の姿は、魔法少女かその才能のある子にしか見えないはずなんだけど」 「なにぃ!? じゃ、じゃああれか、俺が魔法少女になるのか!?」 『魔法少女まじかるアラタ☆ 今日もまじかるガタックカリバーで 悪い人達をカッティングしちゃうぞー!』まで考えてから、加賀美は首を横に振った。 「いやいや俺少女じゃないし、少年ですらないから!」 「落ち着けよ加賀美……そんなの見ればわかるから……」 さやかが呆れたように加賀美に突っ込む。 「うーん……多分、あそこで『使い魔』と戦ったからじゃないかしら。 キュゥべえが弱ってたから見えやすかったとか、色々考えられるけど。 矢車さんにも見えてたから、その線では無いでしょうね」 マミは一寸考えて、加賀美の問いに答えを出した。 すると、加賀美は思い出したかのようにマミにまくし立てる。 「そ、それだよそれそれ! さっきから言ってる魔女とか使い魔とか魔法少女って 一体なんなんだ!? あんなの、俺も見たこと無いぞ! それに、矢車さんは君達 とどんな関係があるんだ?」 マミは苦笑いを浮かべながら、それに答える。 「それには色々説明しなきゃいけないことがあるので、ここではまだ……。 簡単に言うと、使い魔って言うのはさっきの化物で、魔女って言うのはその親玉。 魔法少女は、それと戦って人々を守る者の事です」 「へ、へぇ~……。 (やっべぇ、意味わかんねえ)」 「てことは、マミさんが魔法少女ってことなんですか?」 急な事に頭が追いつかない加賀美に代わり、まどかがマミに問う。 マミは、まどかとさやかに向いた。 「そうよ、私が魔法少女。 キュゥべえが見えるってことは、あなたたちにもその才能があるみたいね」 「そうだよまどか、さやか。 ……僕はね、君達にそのお願いをしたいんだ」 そう言うとキュゥべえは元気よく起き上がり、明るい声で言い放つ。 「僕と契約して、魔法少女になって欲しいんだ!」 キュゥべえは、可愛らしい笑みを浮かべた。 「さ、上がって」 加賀美も含めた一同は、そのままマミの家に同行し、そこで説明を受けることにした。 時刻はもう夕方で、日差しはオレンジ色に染まっている。 マミの家に入ったまどか達が、感嘆の声を漏らす。 「うわぁ……!」 「素敵なお部屋……」 「俺の寮の数千倍綺麗だ……」 「いやそれは汚すぎだろ」 マミの家は、ごく普通のマンションの一室だが、よく物が整頓されていて落ち着いた部屋だった。 「ひとり暮らしみたいな物だったから、遠慮しないで。 ろくにおもてなしの準備も無いんだけど」 そう言うとマミは三人をガラスのテーブルへと促す。 三人を座らせると、マミはキッチンへと向かった。 やがてマミは人数分のケーキと紅茶を持って戻ってきた。 まどか達が、並べられたケーキを口に運ぶ。 すると、一様に笑顔になった。 三人はどんどんケーキを食べていく。 「マミさん、このケーキとってもおいしいです!」 「ん~! メチャウマっすよ!」 「おお、こりゃうまい!」 「ふふ、ありがと。 それじゃ加賀美さん、魔法少女についてご説明します。 ……二人もキュゥべえに選ばれた以上、人事じゃないものね。 ある程度の説明は必要でしょう?」 マミが謝辞も程々に、本題を切り出した。 加賀美達はフォークを動かす手を止め、加賀美は緊張した面持ちで、まどかとさやかは 特に緊張感も無く耳を傾ける。 マミが手を差し出す。 すると、マミの手の中に黄色い宝石が現れた。 宝石は、美しく輝いている。 「……これがソウルジェム。 キュゥべえに選ばれた女の子が、契約によって生み出す宝石よ。 魔力の源であり、魔法少女である証でもあるの」 さやかがいまいち要領を得ないように聞き直す。 「契約って?」 その質問に答えるのは、マミではなくキュゥべえ。 「僕は、君達の願い事をなんでも一つだけ叶えてあげる」 「何でも?」 「なんだって構わない。 どんな奇跡だって叶えてあげられるよ」 「えぇ……何でも!?」 「願い事、って……」 「なんだって構わない。 どんな奇跡だって起こしてあげられるよ!」 あまりに現実離れした契約内容に、まどかは驚き、さやかは胸を躍らせる。 また、加賀美は純粋に関心していた。 「っはぁ……すげぇなそれは」 「わー……金銀財宝とか……不老不死とか……満漢全席とか!」 思い当たる奇跡をウキウキとした声で徹底的に挙げるさやか。 それをまどかは苦笑いしながら見ている。 「でも、それと引き換えに出来上がるのがソウルジェムなんだ。 この石を手にした者は、魔女と戦う使命を課されるんだ」 まどかは、不安そうに聞き返す。 「魔女……って」 「そ、そうそうそれだよ! 魔女って一体何なんだ?」 加賀美が思い出したかのようにテーブルに身を乗り出す。 キュゥべえと加賀美の顔が、くっつきそうになるほどに近づくが、加賀美の顔は 真剣そのもの。 さやかは加賀美を無理やり引っ張り戻すと、気を取り直してキュゥべえに問う。 「魔女っていうのは一体何? 魔法少女とは違うの?」 「魔法少女が願いから生まれる存在なら、魔女は呪いから生まれる存在なんだ。 魔法少女が希望を振り撒くように、魔女は絶望を撒き散らす。 しかもその姿は 普通の人間には見えないからたちが悪い。 不安や猜疑心、過剰な怒りや憎しみ……そういう災いの種を世界にもたらしているんだ」 キュゥべえの説明に、マミが補足を加える。 「理由のはっきりしない自殺や殺人事件は、かなりの確率で魔女の呪いが原因なのよ。 形の無い悪意となって、人間を内側から蝕んでいくの」 話を聞いていくにつれ、加賀美の表情は険しく、 さやかとまどかの表情は怯えを強く表していった。 さやかがおずおずと質問を返す。 「そんなやばい奴らがいるのに、どうして誰も気付かないの?」 「確かにそうだ。 俺だって色々と事件に関わってきたのに、魔女なんて物は ついさっきまで見たことも聞いたことも無かった」 「お、お巡りさんも気付かない事って……」 「魔女は結界を作って、いつもその奥に潜んでいるの。 さっきあなた達が迷い込んだ空間が正にその結界なの。 もちろんその結界の入り口だって一般人には見えないから、 加賀美さん達警察が無能な訳では決して無いわよ」 マミのフォローに、加賀美は複雑な表情になる。 「……マミさん、そんな怖いのと戦っているんですか?」 「ええ、命懸けよ。 だからあなた達も、魔法少女になるかは慎重に考えた方が良いわ。 魔法少女になればどんな願いも叶えられるけど、それは死と隣り合わせの行為なんだから」 さやかとまどかが目を伏せる。 「そこで提案なんだけど……。 しばらく私の魔女退治に付き合ってみない? そうして経験してから、危険を冒してまで叶えたい望みがあるのかどうか、考えて欲しいの」 「ち、ちょっと待てよ!」 当然、そんな危険な行為を加賀美が許す筈もなく。 しかしマミは、あくまで落ち着いた様子で加賀美に向き直る。 「提案は終わりじゃありません。 加賀美さん、あなたももう部外者ではないんです。 当然、協力をお願いさせて頂きたいんですが」 そうマミに言われ、加賀美は明らかに動揺した。 彼女らに危険な事はさせられないのは当然だが、願いが叶うことは大きな魅力である。 自分がここで止めても、この子達は結局―― そこまで考えて、加賀美は答えを出した。 「……わかった、同行しよう。 ただし――」 不意に、玄関のドアの開く音が聞こえてきた。 マミ達が入ってきた時とは違う、乱暴なドアの閉まる音。 さやかが瞬時に反応し、マミに視線を向ける。 「あれ? マミさん、一人暮らしなんじゃ?」 マミは苦笑しながら、困ったように首を傾げた。 「うーん……一人暮らしなんだけどね。 今は、半分同居してる状態の人がいるの。 ……同棲、とは違うんだけど」 静かでゆっくりとした足音が近づいて来る。 足音は、真っ直ぐ加賀美達の居るリビングに向かってきた。 廊下とリビングを隔てるドアが開く。 「あ、お邪魔してま――」 加賀美は即座に正座に直り、出てきた人物に挨拶をしようとして、 そこで固まった。 出てきた人物は加賀美にとって馴染みのある者。 あるときは憧れ、またあるときは驚かされた存在。 黒いレザー製の服をだらしなく着る、やさぐれた男。 「――矢車、さん?」 「……さて、改めて要件を聞こうか」 警視総監である加賀美陸は、警視総監室で訪問を受けていた。 デスクから席を外し、革張りのソファに向い合って座っている。 その表情は極めて真剣で険しい。 「とぼけないで下さい。 ……あなたは知っているはずだ。 まだマスクドライダーシステムには、 僕達が知らない機能がある」 彼以上に険しい表情で、半ば怒鳴るように問いかけるこの男こそ、その訪問者。 整った顔立ちに気障な雰囲気を漂わせる服装の優男。 常にその傍らに居てサポートする小さな助手は、今は居ない。 「……風間君、私は――」 まずはこの男を落ち着かせようと、陸は穏やかな口調で話しかける。 しかしそれは、テーブルを思い切り叩く音で中断された。 「前置きなんてどうでもいいんです! ……柄でもありませんがね、許せないんですよ、今回ばかりは。 あなたの説明不足のせいで、杏子が、一人の少女が傷ついた!」 風間と呼ばれた男は、鋭い目で陸を睨む。 風間はテーブルを叩いた両手の拳を解き、膝の上に戻した。 軽く一呼吸入れてから、今度は落ち着いた声色で切り出した。 「……あなたがどんな人なのかは聞きました、ネイティブ関連の話もです。 そのことについてはあなたを素直に尊敬しますよ。 でも、今回の事ばかりは許せない」 風間の口調から何かを察したように、陸は神妙な面持ちで口を開いた。 「……そうか、君は関わってしまったのか。 『魔女』に」 「やはり知っていたんですね。 なら、ドレイクにあったあの機能にも納得が行く」 陸は一瞬躊躇してから、拳を開けたり握ったりしながら答える。 「君には話さなければならないな。 マスクドライダーのもう一つの機能について」 陸は決心し、風間の瞳をしっかりと見据えた。 「ネイティブにとってのもう一つの懸念……。 君達マスクドライダーは、それを視認することができる」 風間は息を飲み、次の言葉に耳を傾けた。 「ネイティブが懸念していたもの。 その名は『インキュベーター』――」 仮面ライダーカブト! なんで同じ魔法少女なのにそんなことに―― 学校にペットを連れてくるな―― まどか、それはちょっと恥ずかしいぞ―― お前の瞳の中にも闇が見える―― ティロ・フィナーレ!―― ……ライダーキック―― 次回『それはとっても嬉しいなって(後)/『友達』との再開(前)』 天の道を往き、総てを司る! 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――Maximum Hyper Typhoon―― パーフェクトゼクターから電子音が鳴り響く。 すると、凄まじい力を伴った光が一筋に伸びて行き、刃の形を成した。 「ぬぅうああああああ!」 巨大な光の刃は一気に振り下ろされ、敵に直撃し、これを両断する。 崩れていく巨大な敵。 最強最大の『魔女』―― 多くの者を殺し、多くの物を奪ったその魔女は、一撃の下に敗れた。 敵は倒した。 だが、それはあまりに遅すぎて。 彼は、全てを失ってしまった。 だから彼は、過去へ飛ぶ。 今度は、全てを救う為に。 ――Hyper Clock Up―― 今回も、駄目だった。 まどかは魔法少女になり、キュゥべえと契約した。 その力は今まで彼女が 目にしてきたまどかの中でも飛び抜けていて、『ワルプルギスの夜』すら 一撃で葬り去るほどだった。 だが、魔法少女になるということは、つまり 魔女になるということでもある。 まどかは最強最大の魔女となった。 為す術も無く蹂躙されていく人々に、もはや興味などない。 もうこの先に希望など無い。 ならばまた、やり直すまで。 そう思った時、彼らはやってきた。 青色の戦士。緑色の戦士。水色の戦士。 彼らは勇敢に戦った。 最強の魔女相手に、善戦したと言っていいだろう。 一人は剣で、一人は自らの足で、一人は銃を使って魔女との戦いを繰り広げていく。 だが、はじめのうちは易しかった魔女の攻撃は段々と激しく、強くなっていった。 対して、戦士達の攻撃は、気休め程度にしかならない。 やはり駄目だった。 と、少女は思う。 魔女の強力な力によって、一人、また一人と倒れていく戦士達。 「君は何故戦わないんだい? 彼らと一緒なら、もしかしたら どうにかできたかもしれないのに」 近くでそれを眺めていた白い生物が訊ねてくる。 戦場から目を離し、その生き物に向き直り、答える。 「いいえ――」 「私の戦場は、ここじゃない」 元々、戦士達が魔女を倒すかどうかは関係無いのだ。 彼女が魔女に なった時点で、目的は達せられなかったことになるのだから。 左手の装備を稼働させ、少女はまた歩き始める。 再び彼女と出会い直すため。 今度こそ彼女を救うために。 少女の姿が一瞬にして消え、戦士達が全滅する。 その時であった―― 最後の『赤い戦士』が現れたのは。 仮面ライダーカブト! ひどいよ……こんなのあんまりだよ―― 運命を変えたいかい?―― ああ、昨日総司君が来たでしょ?その時に―― 行ってきます!―― 天の道を往き、総てを司る! 鹿目まどかは夢を見た―― 白と黒のモノトーンの屋内。 何故かとても急がなければいけない気がして、自然と走りだしていた。 やけに広い。 道も入り組んでいて、大きなホールもある。 けれど道に迷うことなんて無くて、まるで目的地があるかのように 一心不乱に駆けていった。 やがて階段にたどり着くと、ゆっくりと登っていく。 階段を登り終えると、そこには大きな扉。 やけに重いその扉を開けると、そこには底知れぬ絶望が広がっていた。 地面は割れ、空は曇り、雲は異常な速度で流れていく。 高層ビルは破壊され、空中を漂い、お互いにぶつかっては崩れていく。 その中でもとりわけ異質な、宙に浮く巨大な歯車。 それは何もかもを奪っていく悪夢。 世界の終りを想像させるような光景。 そしてそれに立ち向かう、たった一人の見知らぬ少女。 少女は果敢に挑み行く。 が、敵はあまりに強大で、少女はすぐに追い詰められていった。 ビルに叩きつけられ、光線に身を飲まれ。 少女は遂に力尽き、倒れこんでしまう。 「ひどいよ……こんなのあんまりだよ……」 自然と言葉が溢れる。 それほど、目の前の光景は凄惨で、信じがたい物だった。 「――まどか、運命を変えたいかい?」 不意に、そんな言葉が聞こえた。 足元に目をやると、そこには見知らぬ白い動物がいる。 白い動物は、言葉を続ける。 「なら、君がそれを覆してしまえばいい。 それを可能にするだけの力が、君には備わっているんだから」 この状況を、変えられる。 あの少女を、助けられる。 それが、まどかにはとても魅力的に思えて。 思わず、問い返してしまう。 「……本当、なの?」 「勿論だよ。だから、僕と契約して――」 少女が、自分に向かって何かを叫んでいる。 きっと、「助けて」と、言っているんだ。 と、感じた。 「魔法少女になってよ」 まどかは、ある決意をして。 ――そこから、急に景色が変わった。 あらゆるものが、小さく見える。 あらゆるものを、破壊していく自分がいる。 ああ、もう、終わりなんだ。 そう、思った。 誰も自分に抵抗出来ない。 誰も自分を止められない。 なら全部、壊してしまおう。 ただただ全て、無くしてしまおう。 心の中には、虚無しか無くて、なんでもどうでも良くなって。 そんな自分の目の前に現れた、それは赤い、カブトムシ―― 「……夢オチ?」 少女、鹿目まどかはぬいぐるみを抱きしめながら、ぼうっとした頭の中で考えた。 自分が、何かになるような夢。 とても怖い夢のようで、 それでいて、不思議と嫌じゃない。 そんな夢。 ――なんだか本当に、あんなことがあったような―― 「……起きよう」 寝起きの頭ではそれ以上は考えられない。 まどかはベッドから降りると、部屋から出て行った。 「おはよう、パパ」 「ああまどか、おはよう」 庭で家庭菜園を嗜む父に挨拶をし、その手元を見やる。 今日はプチトマトを収穫するようだ。 「ママは?」 「タツヤが行ってる。 手伝ってやって」 「わかった」 母を起こすため、両親の寝室へと向かう。 既に弟が起こしに行っているらしいが、 大抵まどかが起こすまでは起こせない。 寝室に着くと、弟が母を呼ぶ声が聞こえてきた。 すこし強めにドアを開ける。 やはり弟は母を起こせていなかった。 舌っ足らずな喋り方で母を呼ぶ弟を見て、まどかも少し楽しくなる。 ここでまどかがする仕事は決まっていた。 まずカーテンを一気に開ける。すると、朝日が思い切り部屋の中に入ってきて、部屋は一気に明るくなる。 次に母の掛け布団を一気に引き剥がす。 と、同時に叫ぶ。 「ぉおきろぉー!」 「どぅおわああああああああ!」 熟睡しているところにいきなり陽の光を浴びせられて平気な人間は少ない。 少なくともまどかの母は平気では無いらしい。 母を起こすと、次は一緒に顔を洗う。 母と雑談をしながら顔を洗う。 担任教師や友人の恋愛事情、今日付けていく髪飾りの相談。 仕事で忙しい母との、少ない会話がここである。 母は今回少し派手めなリボンを選んだ。 曰く、これでまどかもモテモテ、らしい。 朝の最後は食事を行うこと。 何故か歯を磨いてからの食事となる。 専業主夫の父が作った朝食を、母と弟と食べる。 「あ、今日はお味噌汁にご飯なんだ」 いつもはパンと洋食が並ぶ朝食だが、今日は若干の違いが見られている。 パパの気分かな、とまどかは考えながら呟いた。 「ああ、昨日総司君が来たでしょ? その時にちょっとお味噌汁の話をしてね」 「あ、昨日天道さん来たんだ? 私もう寝ちゃってたのかな?」 最近このあたりにやってきた青年は、父とよく交流している。 お互い、料理が好きだからだろう。 母が時計を見やると、時計はすでに出勤時間を示していた。 「あ、もうこんな時間か…… じゃ、行ってきます!」 母を全員で見送ると、まどかは再び朝食を食べ始める。 時計は7時45分を示していた。 「さ、まどかも急がないと」 「ん? あっ…… ほんとだ」 これでは友人との待ち合わせに遅れてしまう。 まどかは米粒残さずご飯を食べ終わると、 急いで家を出た。 「行ってきます!」 今日も今日とて幸せで、暖かな一日が始まる。 まどかは、そう思っていて。 走りながら、笑みをこぼすのであった。 まどかの起床と同時刻―― とある寮の一室。 「んんんん……ぐぉおおおお……」 青年は眠い目を擦りながら起床した。 普段はもっと早く起きるのだが、最近はちょっと寝不足気味である。 それは丁度一ヶ月前の事の影響となる―― 「はぁ……転勤?」 突如知らされた自分の転勤。 転勤先は見滝原……彼が行ったことも無いような土地である。 やっとここの地域の人々と完全に馴染めたと思った矢先にこれは、 彼にとっては厳しい。 直情的で思い込みの激しい彼は、他人に溶け込むのに若干苦労することがあるのだ。 この地域でだって、幾度か住民とのぶつかり合いを起こしたこともある。 それをやっと乗り越えて、街のお巡りさんとして馴染んだ所だというのに。 「俺、何か問題でも起こしました?」 上司が苦い顔をして、彼の肩に手を置く。 「いや、それが私にもわからんのだ……。 突然上からの通達が来てな……」 「うーん……まあ、わかりましたよ。 もしかしたら何か俺にしか出来ないことが あるのかも知れませんし」 「すまんな」 ――こうして、彼は見滝原の交番に転勤することになったのだった。 「結局何も起こらないな……ま、平和なのはいい事だ」 青年は呟くと、まず朝食を取るためちゃぶ台に目を移し、 その上にある異物を見つけた。 「飯飯……んん?」 近寄ってみると、そこには一つの銀のトランク。 そのトランクに、彼は見覚えがあった。 しかも、トランクの上には紙が添えてある。 紙には大きく『天』の一文字。 「これって……おいまさか……」 ゆっくりとトランクを開く。 すると中には―― 仮面ライダーカブト! おいおい!加賀美『さん』だろさやか―― 暁美ほむらです。 よろしくお願いします―― 天の道を往き、総てを司る男―― もしそれが本当なら、今とは違う自分になろうだなんて、絶対に思わないことね―― でも私、他人の為に変われる事って人間の良い所だって、教えてもらったから―― 次回『夢の中で会った、ような / そんな調子じゃ肩が凝る』 天の道を往き、総てを司る! Next まどか「マスクドライダーシステム?」 2
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Wikiの編集で意見が欲しいとか、こういう風に編集してみてはとかいう相談が出来たらいいかな、と思い勝手ながら作成。 あと編集の練習ページ(いわゆるサンドボックス、砂場)としてもあり……かも。 ご相談はこちらにどうぞ Wikiの編集に関してのご意見とか相談とかできる場所があったらいいなと思って作成しました。とりあえず一つ最初の話題としては「特殊村の予告場所」がWikiにあるといいかな、という意見があったのですが、どういう形式のページにするといいでしょうかね?いちいち編集するのは面倒ですし・・・ -- 名無しさん (2010-03-08 20 18 09) と、言ってた自分でプラグインを探したらちょうどいいものが見つかりました。↑のようなものをトップページなどに掲載するとよいかもしれませんね。 -- 名無しさん (2010-03-08 20 59 33) この告知メモはwikiのトップにあってもいいと思った -- 名無しさん (2010-03-09 01 26 52) ↑移動させてみました -- 管理人 (2010-03-09 01 52 42) ・・・TOPに目安箱あるけどこの項目必要かな? -- 名無しさん (2010-03-09 02 01 42) ↑↑ありがとうございました。 ↑目安箱は閲覧者側からの意見とかが主なみたいですし、こっちはwiki編集者同士での編集に関割る話を主にしていくと棲み分けられるかなと -- 名無しさん (2010-03-09 03 37 31) トップページのほうさらにちょっと修正してみました。告知となるともうちょっと見やすい位置のほうがいいかな、と。 -- 名無しさん (2010-03-09 03 41 11) 編集しようぜ!という皇国、みうs、広告読んできたけどもネタページは作っていいのだろうか?「教団広告欄」とか -- 名無しさん (2010-03-09 18 28 26) ↑迷勝負とか小ネタもあるし、問題ないんではないですかねえ・・・ -- 名無しさん (2010-03-09 23 02 47) ↑そうなのかー。陰陽鉄Wikiレベルでネタに走っていいなら安心なんだが真面目なところなら謹んで編集には手を出さないと決めてるんでな。悩む -- 名無しさん (2010-03-10 00 12 56) むしろ書いていいかどうか悩む人が多いのがよくないと思うんだけどなあ。村専用Wikiなんだから割と何でも書いていいと思うんだが。 しーえすさんが止めに入ってるわけでもないしね -- 名無しさん (2010-03-10 14 30 11) 悩む人が多いってことは即ち入り口が狭い証拠なんだぜ。特に反対意見もないみたいだし問題ないと判断して教団広告欄のページは作ってみた。教団立ち上げた人はこれにガンガン広告張ってもらいたいんですがねぇ? -- 名無しさん (2010-03-10 16 33 49) はぁぁぁぁぁぁぁ!一応作ってみて明らかにアウト(個人の誹謗中傷)なのは独断で消去しますが、どっちかな?ってラインは雑談スレで議論すればいいかなぁと思ってます。何が言いたいかというと面白い項目はどんどん追加していいんじゃよ?(チラッ -- 管理人 (2010-03-10 16 59 17) 管理人のお言葉来た!これでネタに走れる! -- 名無しさん (2010-03-10 17 22 57) ところで、教団広告欄をどこに置くか迷ってるんですが。小ネタでいいですかね? -- 管理人 (2010-03-10 17 56 49) 小ネタでいいんじゃないですかね?広告ですし -- 名無しさん (2010-03-10 18 03 37) 小ネタに移動してみました -- 管理人 (2010-03-10 20 01 53) ありがとうございます! -- 名無しさん (2010-03-10 20 10 58) ・・・・・・提案した自分で言うのもアレですが、結局バーボンのトップに告知欄設置しちゃったんですが・・・Wikiの告知欄はどうしますかねえ・・・? -- 川´・ω・`) (2010-03-10 21 22 10) 告知欄撤去しました。復活要望が多ければまた戻しますー -- 管理人 (2010-03-11 21 47 13) 更新履歴に表示される項目が少ない気がするのは陰陽鉄で慣れてるからかな?30ぐらい表示してもいいと思うんだが -- 名無しさん (2010-03-11 23 58 34) ↑実は自分もそう思ってたんだ・・・・・・ と、いうわけで勝手に修正して見る。問題はないだろうし -- 名無しさん (2010-03-12 00 00 29) ↑ありがとう! -- 名無しさん (2010-03-12 00 22 18) はあああああああああああ!!更新報告!!!陰陽鉄wikiの方でWD消毒村の原案完成させたからこっちにも持ってきた(MMR加筆した有志は別の人)。記載漏れあったら追加修正ヨロ^^ -- 名無しさん (2010-03-15 18 23 09) ↑WD村追加ありがとう!!仕事が速くて驚いたよ!! -- 名無しさん (2010-03-16 00 48 54) Ver.UPに伴う更新表記のみの変更は見事な仕事とは感心するが流石にふ必要じゃないですかねえ・・・? -- 名無しさん (2010-03-21 22 17 52) ↑ver表記しか変わっていないと思うなら貴方の目は……とそれはさておき、ver表記以外も微妙に仕様変更された箇所があったので書き直したまでです。 -- 名無しさん (2010-03-21 22 22 31) ↑なん・・・だと・・・ こんなに沢山の役職に影響することがあったとは思わなんだ・・・ -- 名無しさん (2010-03-21 22 27 26) ↑↑お詫びとしては何ですが、大量更新をするならば画面右上の「このWikiに参加」からアカウントを作りログインすることによって、認証入力なしの編集が認可されるのでアカウント登録(要メアド)に抵抗がないなら登録することを勧めるます! -- 名無しさん (2010-03-21 22 33 53) ↑私がTipsとか書いたからなわけですが……必要になったら考えさせていただきます。普通村用の説明も必要でしょうか……? -- 名無しさん (2010-03-21 22 38 53) 迷勝負ログのページが容量の限界で編集できなくなりましたね……分割などを考えたほうが良い時期のようです。 -- 名無しさん (2010-04-03 01 47 51) ↑迷勝負集を1-50と51-に分割いたしました。 -- 名無しさん (2010-04-03 08 37 06) 事件簿の容量がいっぱいだったので4冊目作った^^ -- 名無しさん (2010-06-27 01 25 48) ニコニコ動画の某東方有頂天動画もこのwikiで紹介していいです? -- 名無しさん (2010-08-20 02 54 23) ↑ああ、人狼がらみのアレです -- 名無しさん (2010-08-20 02 54 54) ありゃ完全に別もんだろ・・・以前上げられた鉄村リプレイのリンクなら分かるけどココは有頂天系列人狼まとめwikiじゃなくね?まぁ管理人の考えにも寄るだろうが。 -- 名無しさん (2010-08-20 10 48 46) 暇だったからネタ村追記。また暇になったら煽り文書こうと思ってるが…URLだけだとさびしいし、誰か煽り文書いてくれても良いんじゃよ?(チラッ -- 名無しさん (2010-08-22 19 34 58) メニューのignore設定はこれでよろしいのでしょうか。ほぼ総当たりになっていますが。 -- 名無しさん (2010-08-24 20 32 11) うわぁあああ!ありがとうございます!キーワードのみでは他コンテンツも該当しちゃって総当たりで入れるしかなかったので・・・ -- 管理人 (2010-08-25 02 48 57) さらに非表示指定をignoreからignore_head(ページ名冒頭のみをチェック)に変更してみる。これで「汚い忍者の~」とか「○○の狩人講座」とかもはじかれたりする恐れはなくなるはず。重くなったらすいまえん;; -- 名無しさん (2010-08-25 20 20 41) 名前 コメント
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Sandbox @WIKIモードでの練習ページです。 まずは色々試してみましょう。 あああいいい? ううう えええ おおお あい(愛)うえ(飢え)お(男) test 表組み練習 ||要素1|要素2|要素3|要素4|要素5|要素6|要素8|要素7| 全角はだめらしぃ 要素1 要素2 要素3 要素4 要素5 要素6 要素7 要素8 要素9 要素10 半角だと表になるね 要素のないインライン枠の線はこんな感じで表示
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元スレ 魔法少女まどか☆マギカ×特撮ネタ全般スレ その6 http //toki.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1306031913/ 魔法少女まどか☆マギカ×特撮ネタ全般スレ その7 http //toki.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1307226255/ まどか「私、仮面ライダーになる!」 1 コメント欄です 感想や応援メッセージなどをお気軽にどうぞ(無名コメントも可能です) なお、過度な展開予想や要望はご遠慮ください。コメント同士の会話もお控え願います。 名前 コメント
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…………………………………… …………………………………… さやか「…………」 大超獣『魔法少女はいくら肉体が傷付こうがソウルジェムを砕かれない限り完全には死なない……』 大超獣『だがその体で立ち上がることはもう無理だ』 強靭な尾を打ちつけられたさやか 持っていた剣は粉々に砕け、マントはズタズタに千切れ、 血に塗れた足は異常な方向に曲がっていた 大超獣『もう一撃……それで止めだ』 大超獣『まぁ安心しなよ、佐倉杏子もすぐに――――』 カッ! 大超獣『!!』 超獣1「グルルゥ……」 超獣2「!?」 大超獣『………?』 街の中心部 まどか達Aチームが戦っている地点からの強烈な閃光 大超獣は振り上げた腕を下ろし、完全にその光を見つめたまま動きを止め、 後ろの二体も同じく静止する …………………………………… …………………………………… シュゥウウ…… まどか「………っ……え?」 マン『…!!』 きつく閉じた目を見開き、辺りを見回すまどか 大超獣によって発射された光線は二人に当たることは無く、 上空から飛んで来た稲妻のような光線によって相殺され、土埃を巻き上げるだけに終わっていた 大超獣1『なんだ……どこからの攻撃?』 大超獣2『!!……上だ!』バッ マン『この…砂漠の砂一粒を狙い撃ちにするかのような精度…』 メビウス『まさか…!』 バッ 二体の大超獣が同時に上を向き、 それに続く様に一同が空を見上げ、光線を放った何者かを探す エース『……ジャック兄さん…あの光線はまさか…』 ジャック『間違いない、Z光線だ………つまり』 エースの問いに現在の状況を完全に理解したような口振りで答え、 空を見続ける まどか「……!……あ、あれ!!」 大超獣1『!!』 大超獣2『……援軍か…面倒だね』 まどかの指が空の一角を指し示す そこには光線の構えを解き、上空に留まる巨人の姿 その胸には六対のリベット状の突起、 武功の証であるスターマークが輝いていた まどか「新しい…ウルトラマン?」 マン『………来てくれたか』 ???「…………」 巨人は敵を一瞥した後、 地に伏すウルトラ兄弟と未だに状況を理解できずに呆然と立ち尽くすまどかへ視線を移す ゾフィー『遅くなった』 …………………………………… …………………………………… ~インキュベーター・母艦~ ヤプール「!!………来たか!」 インキュベーター「彼らの仲間……?どうなっているんだ?」 インキュベーター「あの地域には干渉フィールドが……」 ヤプール「……見ろ」 艦内の状況を示すモニターが切り替わり、 粉々に粉砕された干渉フィールドの放射中枢を映し出す インキュベーター「……やってくれたね」 ヤプール「………」 …………………………………… …………………………………… エース『ゾフィー兄さん!』 ゾフィー『すまない、エネルギーのチャージに想像以上に時間が掛ってしまった』ズン ゆっくりと地上に降り立つゾフィー 大超獣1『……』 大超獣2『……なるほど、君は彼らを纏め上げる存在か』 ゾフィー『……私は、M78星雲光の国、宇宙警備隊隊長のゾフィーだ』 大超獣に向かい名乗りを上げるゾフィー その背中には堂々とした隊長の風格が漂っていた ゾフィー『インキュベーター……他者の命を弄び、少女達を消耗品の如く扱うその蛮行……見逃してはおけんぞ』 大超獣1『…それで?君達は何が言いたいんだい?』 驚き見開かれていた大超獣の瞳が、ゾフィーを鋭く睨み付ける ゾフィー『……投降しろ、お前達はやり過ぎた』 あらゆる建物が破壊され、死の街と化した見滝原 その変わり果てた光景の街を流し目で見ながら話し続ける 大超獣2『投降?わけが解からないよ』 ゾフィー『!………お前達はヤプールに唆されているだけだ!』 大超獣は投降勧告を受け入れず、目の前のゾフィーに牙を剥く 大超獣1『違うね、彼の言っていることは真理だ』 大超獣2『強いものが他者を管理する……これ以上無い単純で効率の良いルールだ』 ゾフィー『馬鹿な…それではまたいつか別の脅威が生まれるぞ』 大超獣1『だからこそ僕達の元にヤプールがいるんだよ』 大超獣2『何者にも壊されることのない力を手に入れる……そうすれば他者に脅かされる心配は無いだろう?』 まどか「そんなの……絶対おかしいよ……」 エース『……狂気の発想だな』 大超獣1『……それに僕達はこの宇宙の為にエネルギーの回収を続けているんだよ?』 大超獣2『同じ宇宙生命である君達にもこの宇宙に寿命が近付いていることに気付いているだろう?』 ゾフィー『当然だ、我々の同志達がすでにその事態についての対策を研究している』 ゾフィー『だからこそ我々と君達の技術力を提供し合ってこの事態を……』 大超獣1『君達の手を借りる必要は無いね』 大超獣2『そして人類を間引くことはもう決定している』 ゾフィーが粘り強く説得を試みるも、 大超獣はそれを冷たく撥ね退ける ゾフィー『…………互いに相容れぬということか』 大超獣1『こっちは最初からその気は無いんだけどね』 大超獣2『もう魔法少女達には絶望しか残されていないんだ。諦めなよ』 シュゥウ まどか「っ……!!」 目の前の目障りな存在を消すべく、 一方の大超獣が再び光線の発射態勢に入る ゾフィー『…………ならば』 バッ メビウス『!……あの構えは!!』 まどか「…?」 ゾフィー『去れ、絶望!!』 言い放つと同時に、伸ばした手の平ををカラータイマーに近づける その瞬間、両手の間に輝く十字の光 そのまま右腕を手刀の様な構えで大きく振り上げる キュォオオオン… 大超獣1『これは……!?』 雄叫びの様な音を響かせ、 ゾフィーが右腕に莫大な量のエネルギーが一気に集中する 大超獣2「グォォオオッ!!」 バシュウン! 異様な空気を本能的に感じ取り、 次なる行動を阻止すべく、巨大な破壊光弾を放つ ゾフィー『そして起これ、奇跡よ!』バッ 大超獣1『なんだ……このエネルギーは…!!』 エネルギーのチャージが完了すると同時に、真っ直ぐに突き出される右腕 そこから強烈な閃光を発しながら放たれる、 ウルトラ兄弟最強の必殺の一撃 ソフィー『M87光線!!!』 カッ! 大超獣2『!!!』 ドガァァアアアアン…… 大超獣1『な………!?』 ゾフィー「………」 大超獣に向けて放たれた必殺光線 それはバリアーを易々と砕き、その巨体を一直線に貫く 圧倒的な破壊力を持つ一撃はは大超獣を跡形もなく消し去り、 巨体が立ち塞がっていたその場所には灰が残るのみ まどか「あれが……隊長……」 ゾフィー「………ジュアッ!」ダッ 大超獣1『?…』 光線の構えを解き、 一呼吸置いた後空へと飛び、一同を見下ろす 大超獣1『何をする気だ…!?』 ゾフィー「ハァァァアッ……!!」 シュィィイイン… 大超獣1『……あの光は!?』 ゾフィーがカラータイマーに添えた両腕にエネルギーを宿し、 そのまま一気に解放 街中に拡散する光の筋 その内の六つが地上に倒れた戦士達へ宿る セブン『!……』 ジャック『……』 エース『よし……これなら』 メビウス『力が……戻った!』 地に伏し、力尽きようとしていたウルトラ兄弟 しかしその胸に赤く点滅していたカラータイマーは再び青い輝きを取り戻し、 地にしっかりと足をつき、立ち上がる まどか「体が軽い……!」 ズシン マン『どうやら助かったようだな』 まどか「!…ハヤタさん……!!」 離れたところで倒れていたとこにいた二人も同様に立ち上がる 大超獣1「グォアアア!!」バシュン マン「!……シュワッ!」 バシィン! 大超獣1「!!…………」 大超獣の放った光弾をマンは避けようともせず、 腰に手を当て、その分厚い大胸筋で軽々と受け止める まどか「すっ……ごい……」 大超獣1『本来の力を取り戻したとでもいうのか……!?』 爆煙の中から無傷で現れたマンの姿を見て驚き、後ずさる セブン『形勢逆転か』 メビウス『……負ける気がしません!』 大超獣1『そんな…彼一人のどこに全員分回復させるほどの力が……』 ゾフィー『光の国の太陽……プラズマスパークのエネルギーを溜めこんできた』 ゾフィー『おかげで時間が掛ったがな』 大超獣1『っ……ならば』 シュゥン… セブン「!!」 大超獣の周りの景色が歪み、 少しづつ空間にヒビが入り、広がっていく ジャック「!?」 エース『不味い!増援を呼ぶ気だ!』 大超獣1『それだけじゃないよ…これからインキュベーター全戦力を地球に降下させる』 まどか「えっ!?」 セブン『なんだと……!?』 まどか「やだ……やめてぇっ!!」 まどかが悲痛な叫びを上げるが、 無情な大超獣にその声は届くことは無い マン『何も知らない人間達を盾にするつもりか!!』 エース『汚いぞ!インキュベーター!!』 大超獣1『何とでも言うがいいさ!なんだったら降伏でもして―――――』 ゾフィー『断る』 大超獣1『!!………そうかい、だったら…!』 まどか「!?…ちょ、ちょっと……!?」 ジャック『ゾフィー兄さん!?人間達を見捨てる気ですか!?』 ゾフィー『安心しろ、地球にインキュベーターが降下することはない』 まどか「え……ど、どうして」 状況が飲み込めないまどかに、 落ち着いた口調で淡々と話すゾフィー ゾフィー『宇宙には彼らがいる』 マン『!!』 セブン『まさか……地球全域を守れるほどの戦力を…!?』 大超獣1『何を…何を言っているんだ!』 大超獣1『もうじき地球の主要都市は全て火の海に……』 ゾフィー『ならば試してみろ……彼らがいる限りそんなことはさせない』 大超獣1『………!!』 地球周辺に待機するインキュベーターの同胞達 大超獣はテレパシーを使い接触を試みようとした瞬間、 その赤い瞳は驚きに見開かれる …………………………………… …………………………………… ~地球周辺宙域~ 真っ暗闇の宇宙空間に青く輝く星、地球 その星の全体をを疎らに覆う白い影、 それはインキュベーターの歪んだ姿である超獣のものだった 超獣「グァギャ!!」 ドガァン! 次々に爆発し、消滅する超獣達 地球への降下が指示される十数分前、 突然地球周辺の各所に出現した赤と銀色の巨人 凄まじい実力を持った歴戦の勇志達に阻まれ、 超獣の姿に変身したインキュベーター達は未だ降下することが出来ずにいた 超獣「クワァアアッ!!」シュン ???『ストリウム………光線っ!!』 バシュゥゥッ! 超獣「!!!」 ドガァァアアン…… 妨害を潜り抜け地球へ侵入しようとした超獣に、 気合いの入った掛声とともに放たれた七色に光る光線が直撃し、粉々に砕け散る 超獣『馬鹿な……あれだけいた超獣達がこうも簡単に…』 その光景を目にした別の超獣が驚愕し、 目の前に立ち塞がる赤い火の如き体を持った巨人へと視線を移す その巨人の頭に生えた二本の雄々しい角は、 太陽の光を受けて鋭く輝いていた タロウ『インキュベーター!ここは絶対に通さんぞ!』 シュシュンッ ネオス『タロウ教官に続け!我々も行くぞ!!』 セブン21『ああ、我ら勇士司令部の実力を見せる時だ!』 タロウの放った光線を皮切りに、二人の巨人が名乗りを上げて超獣の群れに突っ込む その姿は現在地球で魔法少女達と共に戦う戦士、 ウルトラマンとウルトラセブンに酷似していた 超獣『まだだ……!数ではこっちが圧倒的に有利――――』シュン ???「シェァッ!!」 ズババババッ! 超獣『!!……』 自身満々に言い放つと同時に、 あらゆる方向から戦士達に迫る数十体の超獣達 しかし、その全てが超高速で突然飛来した分身したブーメラン状の刃に切り裂かれ、 一瞬の内に動かぬ肉塊と化す マックス「………」シャキン 高速で回転しながら分身した刃はやがて一つに纏まり、 その持ち主である巨人の頭頂部の突起へ収まる 超獣『は……速い…』 ゼノン『マックス、遠慮することはない!マックスギャラクシーで吹き飛ばせ!!』 マックス『言われなくともそのつもりだ!みんな離れろ!!』シュゥン 後方で戦いながらマックスに呼び掛ける巨人、ウルトラマンゼノン その声に応えるようにマックスは右腕に装着された不死鳥を模したアイテムから、 自身の身長の数十倍はある光剣を生成 マックス「デェェィイイァアア!!!」 超獣『!!』 ズバンッ!! 仲間達が退避したところを見計らい、 巨大な光剣を振り上げ、周囲を取り囲むおぞましい数の超獣達を、一撃の下に薙ぎ払う マックス『どうだ……!!』 シュゥゥウ… タロウ『!…油断するな!合体してまた襲ってくるぞ!!』 …………………………………… …………………………………… パワード「シュワッ!!」 超獣「グァギャ……!!」 ドガァン… 青い瞳の銀色の巨人が放つ十字架状の光、メガスペシウム光線 その一撃が地球へ向かう超獣達の群れを纏めて蒸発させる パワード『……まだいるのか…こいつらの全員を相手にするのは骨が折れるな』 超獣『……今だ』バシュン パワード『!?』 構えを解いた一瞬の間 その瞬間、数体の超獣達がパワードの背後から一斉に光弾を放つ パワード『しまった…!』 反応が遅れたためにバリアーの展開が間に合わず、 腕を交差させ、防御の構えを取る シュゥウゥ… パワード『………?』 超獣『?………あれは……』 グレート「ハァァ………」 一瞬の内に射線に割り込んだもう一人の銀色の巨人 大量の光弾は巨人の目の前の空間で一つに合わさり、完全に停止する 超獣『受け止めた…?この数を……』 グレート「ジェアッ!!」 超獣『!!』 ドガァァァァン… 両腕を前に突き出し、受け止めた大量の光弾を凝縮、 マグナムシュートとして撃ち返す 何倍にも強化された破壊のエネルギーが超獣達を消し飛ばす グレート『………油断するな』 パワード『ああ、すまん助かった』 シュゥゥウウ…… 大超獣「………」 パワード『!!……合体だと!?』 宇宙空間に四散した超獣達の肉片が霧のように変化し、 一ヶ所に集まって少しづつ巨大な超獣の姿を形成する グレート『不味いな……この数が一体に融合するとなるとどれほどの強さに…』 ドガガガッ! 大超獣『!?』 ???『ならば融合させなければいいんですよ』 グレート『!……君達は…』 肉体の形成途上の大超獣に直撃する三筋の光線 驚くグレートの背後に三人の新たなウルトラマン スコット『確かに融合を許してしまえばこいつらは驚異的な強さになる……』 チャック『しかし集まった肉体が固着する前を攻撃すれば…倒すことは容易い!!』 べス『あと一撃……急いでください!』 ???『我々に任せてくれ!』シュン 少しづつ完全な姿を形成しつつある巨体に、 怯むことなく名乗を挙げる二人のウルトラマン 80『ユリアン!敵は複数の体を合体させて何倍ものパワーを出している!我々も力を合わせて攻撃するんだ!!』 ユリアン『分かったわ、エイティ!』 シュン ガシッ! 襲い掛かる超獣を蹴って飛び上がり、 高速で交差する二人の体 80「トァアーーーッ!!!」 大超獣『………!!』 ドガガガッ! 超獣「グギッ!!?」 回転によって生み出されたエネルギーが刃となり、大超獣の体を両断 その勢いに乗って一瞬の内に辺りに蔓延る超獣達を殲滅する パワード『よぉし!!』 グレート『……この辺りは片付いたか。一度合流すべきだな』 80『休んでいる暇は無い!急ごう!』 …………………………………… …………………………………… ~見滝原~ まどか「すごい…すごい!…いろんな人達が…!!」 ゾフィー『そう、戦っている……この星のために……君達のために』 ゾフィーが空に映し出したヴィジョンを見つめ、 瞳を輝かせるまどか マン『希望の光はまだ消えてはいない』 セブン『形勢逆転といったところか……』 ズシン… 大超獣『!!』 小さなまどかを中央にして、 大超獣の前に並び立つ七人のウルトラマン達 エース『インキュベーター……最期の時だ!』 …………………………………… …………………………………… ~インキュベーター・母艦~ インキュベーター「なんだこの強さは……数ではこちらが圧倒的に有利だったはずが……」 ヤプール「宇宙警備隊を総動員か……やってくれる」 巨大なモニターに映し出された宇宙空間での激戦 その映像を眺めながら呟く一人と一匹 インキュベーター「……完全に彼らを甘く見ていた」 ヤプール「地球にいる奴等だけなら数で圧し潰すことも出来ただろうに」 ヤプール「一気に形勢が不利になったな。はっきり言って最悪だ」 食い入るようにモニターを見つめるインキュベーターに、冷たく言い放つ ヤプール「こういった最悪の状況を逃れるために前の時間軸では隠密に事を進めていたというのに…」 インキュベーター「この時間軸でもそのつもりだったさ……」 インキュベーター「そもそもおかしかったんだよ」 インキュベーター「どういうわけか…僕達が鹿目まどかと接触する前に宇宙警備隊の数人が地球に送り込まれていた」 インキュベーター「それだけじゃない。別世界からのイレギュラー……彼らがどのような手段でこの世界に来たのかも解かっていない……」 視線を動かさず、思考を巡らせるインキュベーター 感情の無い声色は言葉とは裏腹に落ち着いていた ヤプール「さて、どうするつもりだ?こちらの戦力はほぼ壊滅状態だ」 ヤプール「全滅は時間の問題だぞ?」 インキュベーターの小さな体を見下ろし、 口元にいやらしい笑みを浮かべる インキュベーター「そうだね……とりあえず残りの個体を全て見滝原に送り込もう」 インキュベーター「あそこへのゲートだけは開いている。直接降下させる必要はないから宇宙にいる彼らに邪魔される心配もない」 ヤプール「それでは宇宙にいる敵を誰が抑える?」 インキュベーター「……大超獣に変身した個体が一体いる。時間稼ぎには使えるだろう」 ヤプールの顔を見上げ、表情一つ変えずに答える ヤプール「……残りの戦力で先に地球を押さえようということか」 インキュベーター「ここまで追い詰められた以上これしかない……それが成功すればこの艦を地球に降下させ―――」 ???『聞こえるか!?インキュベーター!!』 インキュベーター「!?」 ヤプール「!……」 母艦の周囲を映すモニターが、 大声で叫ぶ青いウルトラマンの姿を映し出す …………………………………… …………………………………… ヒカリ「ヌンッ!!」 ザシュッ! 襲い掛かってきた数体の超獣を右腕の光剣ナイトブレードで斬り払い、 目の前の巨大な球状の母艦へ叫ぶ青い巨人、ウルトラマンヒカリ ヒカリ『聞こえているだろう!返事をしろ!!』 インキュベーター『……そんなに叫ばなくても聞こえているよ』 ヒカリ『……!!』 艦内にいるインキュベーターの声が、宇宙空間に響き渡る ヒカリ『インキュベーター!貴様らの狂気に満ちた計画……全て調べさせてもらったぞ』 インキュベーター『……この艦に潜入していたのか』 ヒカリ『そうだ!貴様らが地上の戦闘に気を取られている隙に私はゾフィーとともに潜入し、データを探らせてもらった』 インキュベーター『データを探る…?それだけ?』 インキュベーター『なぜ内側からこの艦を沈めようとしなかったんだい?その気になれば不可能でもないだろう?』 ヒカリ『……お前達に全面的に降伏してほしい』 右腕のブレードを収め、 構えを解いて落ち着いた口調で話し出す インキュベーター『戦いを止めて投降しろと?』 ヒカリ『……我々はいかな敵同士であろうと命を奪わずに済むことが出来るのならその道を選びたい』 インキュベーター『ふうん……仮に僕達が降伏したとして……それからどうするんだい?』 母艦から姿を見せず、探るような口調で尋ねる ヒカリ『宇宙の為とはいえ、生命を弄んだお前達の罪は決して軽くは無い』 ヒカリ『だがその罪を悔改め、我々と共に宇宙延命のための別の道を探すというのならばその罪も……』 インキュベーター『…………』 シュゥン…… ヒカリ『……む?』 ヒカリ(超獣が……消えた?) 交渉を続けるヒカリの周りで待機していた超獣達が空間に空いた穴の向こうへ消え、 辺りが静寂に包まれる インキュベーター『………』 ヒカリ『!!……インキュベーター!これは……』 交渉に応じたと判断したヒカリは歓喜の声を上げ、 完全に警戒を解き、母艦との距離をゆっくりと詰める しかし… ドガッ! ヒカリ『ぐぉあっ!?』 無防備な背中に攻撃を受け、大きく仰け反る インキュベーター『降伏するとでも思った?』 超獣1「グルルル……」 超獣2「……」 ヒカリ『な…!?貴様ら……!!』 自分を攻撃した二体の超獣を睨み付けた後、 再び目の前の母艦に視線を移すヒカリ インキュベーター『その申し出を受け入れる気は初めからないよ』 ヤプール『間抜けなやつめ。油断して後ろに現れた二体に気付かんとは』 ヒカリ『!……貴様、ヤプールか!!』 母艦から響く冷厳な声 卑劣な騙し打ちを受けたヒカリは怒りに拳を握り締める インキュベーター『こちらにはまだ手は残されているんだ。そう簡単に降伏は出来ないなぁ』 ヤプール『貴様が好き勝手に話している間に残りの超獣は見滝原へ向かった……残念だったな』 ヒカリ『卑怯者め……』 バチバチバチッ… ヒカリ『許さん!!』 怒りのままに掲げた右腕に青い稲妻の光が宿り、 インキュベーターの母艦へ向けて必殺のナイトシュートを解き放つ ヒカリ「セァアーーーーーッ!!!」 インキュベーター『………』 ドガァァアアン…… ヒカリ『……なに!?』 超獣を一撃で葬り去るほどの威力を持った光線 その直撃を受けたにもかかわらず目の前の母艦には傷一つ付いていなかった ヒカリ『無傷だと……馬鹿な!』 インキュベーター『外部からの攻撃ではまともに傷を付けることは出来ないよ……一度目に侵入したときに破壊しておくべきだったね』 ヤプール『さぁ遠慮はいらんぞ超獣よ!今すぐそいつを―――』 ドグシャッ! 超獣1「ギッ!!」 超獣2「………!!」 ヤプール『!?』 ヒカリ『!………お前は…』 命令とともにヒカリに襲い掛かろうとした二体の超獣は、 光を纏った強烈な蹴りを受け爆散 赤いマントをなびかせた深紅の獅子がヒカリの前に現れる レオ『退がれ、ヒカリ』 ヒカリ『レオ!………すまない、助けられたな』 レオ『構わん、それより一旦退くぞ』 ヒカリ『!……なにかあったのか?』 レオの言葉に声を荒げる レオ『我々の仲間が合体した超獣を相手に手こずっている。加勢せねばならん』 ヒカリ『……やむを得んか』 シュン! インキュベーターの母艦を一瞥し、 仲間達の元へ飛び立つ二人 …………………………………… …………………………………… ~インキュベーター・母艦~ インキュベーター「?……なんだ?やけにあっさりと退いたみたいだけど……」 ヤプール「………」 ドガァァアアン!! インキュベーター「!?……なんだ!!」 ヤプール「………やはりな、侵入されていたか」 各所で起こる爆発 手を掲げると同時に巨大なモニターの画面が切り替わり、 艦内の一室、機関室が映し出される そこには艦内を縦横無尽に暴れ回る、 青と赤色の体色をしたウルトラマンの姿があった インキュベーター「やはり?………君は侵入者に気付いていたのか?何故教えなかった?」 ヤプール「聞かれなかったからな」 インキュベーター「!!……」 …………………………………… …………………………………… ~機関室~ ドガガガガッ! ???『ぉぉおおおらぁぁぁあああああ!!!』 重要な機器がむき出しの壁、床、天井 雄叫びを上げながら薙ぎ払う様に光線を放ち、 その全てを徹底的に破壊する ???『へへ……ここまでチマチマ潜入したんだ!思いっきりやらせてもらったぜ!』 燃え盛る爆煙と崩れ落ちる瓦礫の中で、 腰に手を当て、誇らしげに言う ???『さってと……ぶっ壊したらさっさと脱出しろってレオのジジイに言われたしな……行くか』 ???『待ってろよ、魔法少女!………あと親父!』 ドゴォォオオオン! …………………………………… …………………………………… インキュベーター「まずい……このままじゃ地球に落ちる…!」 ヤプール「……さてどうする?」 激しい振動とともに地球へと進むインキュベーターの母艦 切迫した状況下にも関わらず、 不気味な笑みを消すことなく静観するヤプール インキュベーター「……君はまるで諦めているみたいだね?」 ヤプール「私はこの状況でお前達がどう判断するのかが気になるだけだ……降伏するか、しないのか」 インキュベーター「………とりあえず反重力装置の復旧が急務だ」 ヤプール「だろうな。だが地上の敵に姿を曝すことは覚悟しておいた方がよさそうだ」 インキュベーター「…………」 …………………………………… …………………………………… ???1『う、うわぁ……なんかすごいことになってる……』 ???2『これって協力した方がいいのかな…?』 インキュベーターの大超獣と激戦を繰り広げるウルトラ戦士達 その光景を遠くから眺める二人の赤い巨人 ???1『あったりまえじゃん!本物のウルトラ戦士達と一緒に戦えるなんて……あぁ~!なんてツイてるんだ!!』 ???2『戦いが終わってからでいいじゃん』 シュン! ???2『!! ちょっと!?』 相方の制止を聞かず、 片方が激戦地にむかって一気に飛び出す ???1『待ってらんないよ!君も早く!!』 ???2『……分かったよ!』 …………………………………… …………………………………… ~見滝原~ 大超獣『……!?』 ググググッ… ダイナ「ウォォオオオ………!!」 ティガ「ハァァアア……!!」 下敷きになっていた二人に力が戻り、 大超獣の両足が少しづつ持ち上がり始める ネクサス「…………」グッ そのそばで倒れていたネクサスの目とエナジーコアに光が宿り、 ゆっくりと、力強く立ち上がる マミ「なに…?ソウルジェムの穢れが……?」 ほむら「街の中央からの光………あそこで何があったの…?」 街の中心部でゾフィーが解放した光エネルギー それは離れたところで戦う他のチームの者達にも届き、 再び戦う力を取り戻させていた ネクサス『……この際深く考えるのはよそう』キュイン ほむら「!……孤門、あなたも力が……」 シュォォン… ネクサス(J)「………」 左腕を胸のエナジーコアに当て、光に包まれるネクサスの体 生体甲冑が体を覆うとともに銀を基調とした体色が赤く変化 アンファンス形態から更に力を解放した姿、 ジュネッスへとフォームチェンジする 大超獣『まだ何かするつもりかい……?』 ググググッ… ティガ『!……アスカ!!』 ダイナ『分かってますってダイゴさん……!!』 大超獣の足に踏みつけられながらもお互いの名を呼び合い、 足を受け止める腕に、より一層の力を込める ダイナ『本当の戦いは……ここからだぜ……!!』 ティガ「ハァァアアアアッ……!!」 キュイィィン… 大超獣『な……!?』 ズズゥウゥウン…… 踏み付けられていた二人の姿は光に包まれ、 それとともに爆発的に上昇する二人の力 大超獣『なんだ…!?このパワーは……』 その力に耐え切れず、仰向けに倒れる大超獣 マミ「!!…あの姿は!?」 ほむら「……これで赤いウルトラマンが三人ね」 呆然と見上げる二人 その視線の先には、 真っ赤な体色で、先ほどよりも筋肉質に変化したティガ、パワータイプとダイナ、ストロングタイプの姿があった ティガ(P)「………」 ダイナ(S)『さっきまでの借り……千倍にして返してやるぜ!!』 大超獣『………力を取り戻したくらいでいい気にならないでほしいな』 シュゥウン マミ「!……またバリアーを…!!」 巨体を起こし、 五人の前で再び亜空間バリアーを展開 ほむら「あれがある限り……ダメージを与えることは……」 シュン ダイナ(S)『だったら力づくでブチ破る!!』 ティガ(P)『……とどめは君達に任せるよ』 大超獣『……』 相変わらず余裕めいた態度を崩さない大超獣に対し、 同じく余裕の態度で進み出る二人 マミ「!…待ってください!あのバリアーは正面からではいくら攻撃しても……!!」 ガシッ マミ「!?」 ほむら「……」 マミ「暁美さん!?」 二人へ駆け寄ろうとしたマミの肩を掴み、 険しい表情のほむらが無言で首を振る ほむら「今私達が前に出たところでどうにもならない」 マミ「っ……!で、でも!!」 ほむら「……大丈夫、彼らならきっとやってくれる」ジャキッ マミ「!……」 ディバイトランチャーを握り直し、 魔翌力を込めながら迷いなくマミに言い放つ ネクサス(J)『チャンスは一瞬だ。外したら笑い話にもならない』 ほむら「ほら、早く構えて」 マミ「………ええ!」ジャキ 大超獣の巨体を見上げるネクサス その足元には武器を構えた二人の魔法少女 大超獣『まだ理解できないのかな?このバリアーは……』 ダイナ(S)『やってみなくちゃわからねぇ!!』 シュゥン ダイナ(S)「ディァァアアア………!!」 胸の前に発生したマグマのように赤いエネルギーを右拳に凝縮 腕を引き、腰を落として構える ティガ(P)「ハッ!……ハァァアアアア……!!」 そこに続く様に、 両腕を左右から振り上げ、胸の前に灼熱のエネルギー粒子を集約し、 球状に練り上げる 大超獣『たった二人の攻撃で破ろうだなんて甘く見ないでほしいな』シュゥン 目の前でエネルギーを溜める二人に対して怯みもせず 絶対の自信を持つ自身のバリアーを周囲に張り巡らせると同時に、 大きく開いた口にエネルギーを集中 ネクサス(J)「…………」グッ ほむら「……マミ、大型相手には……」 マミ「わかってる……」チャキッ 互いに目配せする二人 呼び掛けに答えたマミの両手には二丁のメテオールショットが握られていた ティガ(P)「………ジェアァッ!!!」 ダイナ(S)「ディアァッ!!」 ドシュゥン! 静寂を破り、 二人に腕から一気に放たれる赤いエネルギー弾 熱風を巻き起こしながら大超獣の体を覆い尽くす亜空間バリアーに向かって進む バチチチッ!! 大超獣「グッ………!!」 爆裂する真っ赤な粒子 直撃を受けた灰色のバリアーの向こうで、腰を落とし衝撃に耐える大超獣 ダイナ(S)『いけぇぇええーーーーーっ!!!』 ティガ(P)「………」 大超獣「グッ!……グッグ……ウゥ……!!!」 ピシッ 大超獣『!!!』 ほむら「!!………」チャキ 大超獣『な…!?あり得ない……!!このパワー……!!』 バキィィン…… 驚愕し、よろめく大超獣 二人の攻撃を受けた位置から亜空間バリアーに亀裂が走り、 一瞬の内に全体へと広がった亀裂により、形を維持できずに砕けるバリアー ティガ(P)『今だ!!』 ネクサス(J)「フンッ!!ウォオオォォオオッ………!!」シュイン 大超獣『!?……く…』 バリアーの消滅と同時に、 ネクサスが両手首を交差させ、エネルギーをスパークさせる 大超獣「ガァッ!!」 ネクサス(J)「ディェアァァアアッ!!!」 バシュゥン!! バチッ!! マミ「うっ……!!」 大超獣が咄嗟に口から発射した赤黒い破壊光線 それはネクサスが渾身の力を込めて放ったオーバーレイ・シュトロームと激突、 爆発とともに辺りに閃光が走る ネクサス(J)「オォオオオオォ!!!」 大超獣『………!!』 バシュン!! 互いの力が拮抗するのはほんの一瞬 一気にエネルギーを解き放ったネクサスの光線は、 大超獣の光線を押し返し、破壊力を保ったまま顔面に直撃する 大超獣「グガァァアアアアッ!!?」 マミ「! 暁美さんっ!!」 ほむら「ええ…!!」ジャキッ バァン!! ネクサス(J)「ハァァアアア……!!」 大超獣『か、体が……!!再生能力が……!!!』 なおも光線の照射を続けるネクサス 少しづつ青い光に包まれる大超獣の巨体 そこへありったけの魔翌力を込めたほむらの魔法弾が迫る マミ「これで………っ!!」 パシュン! 大超獣『!!?』 魔法弾が直撃するその瞬間、 マミの両手のメテオールショットから発射した青く輝く六筋の光が大超獣の上空で交差 マミ「………」チャキッ ほむら「………終わりね、化物」 大超獣『こ、これは……ワルプルギスの時の……!!』 巨体を完全に覆い尽くす隔離フィールド、 ワルプルギスの夜を葬ったキャプチャーキューブが発動する ネクサス(J)「…………」 光線の構えを解き、 ゆっくりと腕を下ろすネクサス 大超獣『さ、再生出来ない……!体が……消える……!』 外部から完全に隔離されたバリアー内では、 ほむらの放った魔法弾が大超獣の体を貫くと同時にバリアーの壁面をピンボールのように何度も跳ね返り、 オーバーレイ・シュトロームの直撃を受け、原子レベルにまで分解されかけている体を更に削り取る 大超獣「グ……オォ………!!」 シュゥゥウ…… バリアー内で増幅されたエネルギーを全身に浴び、 青い粒子となって消滅する大超獣 マミ「………倒した……のね」 ほむら「……ええ」 キャプチャーキューブが完全に消え去った後、 風に乗って消えていく青い粒子が勝利を物語っていた ズシン… ネクサス(J)『ここは……もう片付いたみたいだ』 シュイン ティガ『なら話は早い。ほかのチームの救援に行こう』 ダイナ『休んでる暇は無いみてーだな!』 ネクサスが確認するように辺りを見回しながら言い、 それを聞いて通常の形態へとチェンジする二人 ほむら「行くなら街の中心のAチームね……私達を救ったあの光の正体も確かめておきたいわ」 マミ「……なら急ぎましょう!」 ダイナ『おう!』 勝利の余韻に浸る暇もなく、 仲間達の元へと向かう五人 ほむら(まどか………無事でいて……) …………………………………… …………………………………… ~同時刻~ シュゥウ… さやか「……んっ……?」ピクッ 大超獣『!!……』 街の中心から伸びる光がさやかの体に宿り、 ソウルジェムの穢れを浄化、ボロボロに傷付いた体を完全に回復させる さやか「あれ……?もう治ってる……?」 自身の状況に戸惑いつつ、 完治した足を摩りながら立ち上がるさやか さやか「なんで?……だってあたしあんなに……」 ズシン 超獣1「グァルルル……」 超獣2「グゥ………」 さやか「う!?……っくそ!!」バッ 考える暇も与えず、 さやかに向けて振り下ろされる超獣の爪 さやかは咄嗟に剣を拾い上げ、手を添えて守りの姿勢をとる ドガガッ! 超獣1「グッ!!」 超獣2「!?……」 さやか「…………え?」 高速で放たれた光弾が二体の超獣の横っ面に直撃し、攻撃を阻止する さやか「……あ……!!」 ガイア『……間に合った』 コスモス「………」 恐る恐る目を開けると同時に視界に入り込む赤と青、 二人のウルトラマンの姿 その両名ともがカラータイマーに再び輝きを取り戻していた さやか「よ……よかった……二人とも無事だったんだぁ……」 力が抜けたかのように、地面にへたり込む ガイア『大丈夫?さやかちゃん……』 コスモス『怪我は無いみたいだけど………もしかして君も?』 さやか「う、うん……あたしボッコボコにやられてたのに気が付いたら……」グッグッ 目の前の二人の姿を見上げながら、 さやかは体の調子を確かめるように二、三度手を開閉させる ズシン… 大超獣『やれやれ、また君達を倒さなきゃいけないのかい』 超獣1「………」 超獣2「ガゥゥゥウ……!!!」 さやか「!!……」 大地を踏み拉き、三人を見下ろす大超獣 それに続いて攻撃を受けて倒れていた二体も起き上がり、三人に迫る ガイア『……それはこっちの台詞だ!』 コスモス『これ以上お前達の好きにはさせない!』 さやかを後ろに退がらせ、構えを取る二人 大超獣『…………やる気十分だね』 大超獣『美樹さやか、止めなくていいのかな?』 さやか「!……だ、駄目っ!!」 ダッ ガイア「!?」 コスモス『さやかちゃん……?』 攻撃を仕掛けようとする二人の前に飛び出し、 両手を広げて制止するさやか コスモス『何故……』 さやか「あ……あいつの腕に……杏子が…!!」 ガイア『!?…腕の中に?……それは一体…』 さやか「わ、わかんないよ!!……あたしを庇って……腕に飲み込まれて…」 コスモス「………」シュン コスモスの目がほんの一瞬輝き、 集中力を高め、大超獣の左腕に視線を注ぐ コスモス『!……いる……確かに…』 透視能力が発動し、 大超獣の腕の中で胎児のように眠る杏子の姿を見抜く 大超獣『察しのいい君たちならこの意味が解かるだろう?』 超獣1「………」 超獣2「………」 大超獣『もっとも…彼女を[ピーーー]覚悟があるなら別だが』 さやか「!!………」 ガイア『…そんな……』 コスモス『………』 大超獣『どんな手品を使ってエネルギーを取り戻したかは知らない』 大超獣『……だが所詮こんなものさ』 バシュゥン! ガイア「!! ディヤッ!」シュイン 発射された破壊光線 ガイアは咄嗟にバリアーを展開し、その攻撃に備える ドガガガッ! ガイア「グォアッ!?」 さやか「あ……我夢さん!!」 しかしバリアーは易々と砕かれ、 直撃を受けたガイアは吹き飛び、再び瓦礫の上に倒れる 超獣1「グォアアア!!」 コスモス「!! ハァッ!」ガシッ 動き始めた二体の超獣が一気に襲い掛かり、 迫り来る攻撃をコスモスはひたすらに受け流し続ける 超獣2「ガァッ!!」バシュッ コスモス「……!?」 ドガァン! コスモス「グゥア……!」 さやか「む、ムサシさんっ!!」 遠距離から放たれた光弾が背中に直撃し、 倒れたところをもう一方の超獣に蹴り飛ばされる 反撃の許されない二人は防戦一方のまま、 再び追い詰められようとしていた 大超獣『殊勝な心がけだね。よく解かってるじゃないか』 さやか「ッ……く…ぅうう……!!」 唇を噛み締め、大超獣を睨み付けるさやか さやか(どうすれば………どうすればいいの……!?) さやか(せっかく力が戻ったのに……このままじゃまた……) キィィン…… 『……さやか!』 さやか「………!?」 さやか「この声……杏子!?な、なんで……!?」 大超獣『……?』 さやかの頭の中に直接響く声 その声の主を探し、辺りを見回す 『おい……まだ生きてるんだろ!?』 さやか(!…そうか……念話だ……!!) 大超獣の腕の中から、魔法少女の能力でさやかの頭の中へ直接語りかける杏子 その呼び掛けに答えるために、意識を集中する さやか『大丈夫、聞こえてる!』 『!……そうか……まだ無事…か』 さやか『うん、さっきまでへばってたんだけど……なんとか三人とも無事』 さやか『……それよりなんとか脱出出来ないの!?』 『……無理だ。こっちは指一本動かせねぇ』 さやか『……そんな……』 『…………』 わずかな期待を込めた問いはあっさりと否定され、 がっくりと肩を落とすさやか さやか『……でも大丈夫だから!内側からじゃ駄目ならこっちから……』 ドガッ ガイア「グオッ!?」 コスモス「ウォアッ!?」 二人の間で念話が交わされている間も攻撃は続き、 絶望的な状況は何も変わらない さやか「!!……」 『……こっちから外の様子は分からねぇけど…やばいんだろ?』 さやか『!! そ、そんなことないから!絶対なんとか――』 『こいつどうせアタシを盾にして脅し掛けてきてんだろ?』 さやか『っ………!!』 『ほら、図星だろ』 考えを全て見透かしたような、 落ち着いた口調で語りかける杏子 さやかの頭の中に響く声は悲しげで、それでいて何かを決意したかのように力強かった さやか『……まだ……まだ何か方法が……!!』 『いや、もういいんだ』 『アタシごとこいつを叩き切れ』 BACKまどか「…ウルトラマン!」 14 NEXT まどか「…ウルトラマン!」 16